2chMCスレッド

2chの「MC・催眠系総合スレ」をまとめてます。(作りかけだから見にくい)
ラブライブ二次創作 - 2chMCスレッド

ラブライブ二次創作



(第一話)
(第二話)
(第三話)


第一話


「なぁ、えりち。今日はウチの家に寄っていくんやろ?」
「えっ?あっ……そうだっけ?寄っていく約束してた?」
下校途中に東條希に話しかけられた私は奇妙な違和感にとらわれて思わず生返事してた。
私はその時、心の底に何か引っかかるものを感じていたんだと思う。
ここ数日ほど、希の様子がおかしいことに薄々感づいていた私は、得も言われぬ不安感を持ってた。
(わたし、なにか大事なことを忘れているような気がする。希も何か変だし……)
そんな私の不安をよそに、希は私の手を引っ張るようにして自宅のワンルームマンションの方へと誘う。
「生徒会の仕事も終わったし。今日はウチの部屋でお茶しよ」
私と希は、それぞれ音ノ木坂学院の生徒会で会長と副会長を務めてる。
またスクールアイドル・グループのμ'sのメンバーとして、充実した学院生活を過ごしてた。
今日は生徒会の事務処理を終えた後のμ'sのライブ練習もお休みで、放課後は珍しくゆったりと出来る日だけど……。
「家に帰っても、一人暮らしは退屈なんよ。えりちがお茶に付き合うてくれると嬉しいんよ」
ニッコリと微笑む希だったけど、私の心の片隅にはやはり疑問が残ってた。
希が大きな家電量販店の紙袋を持っていることも気になる。
(今日って、本当に希と約束してたっけ?それに希が持ってる、あの紙袋の中身って何かな?)
心のわだかまりが消えないまま、私は希のマンションに到着した。
「親が出張してて、一人暮らしは自由でええと、えりちは思うかもしれんけど、それはそれで結構さみしいんよ」
希の言葉どおり、彼女は女子高生でありながら、両親の仕事の関係で、ずっと都内のマンションで一人暮らしをしてる。
妹や家族と暮らす私から見れば、ある意味では希が羨ましいと思うこともあるけれど、希はきっと寂しいんだと思う。
そんなことを感じてた私だったけど、希が一人暮らしをしているマンションの部屋に入った瞬間に、私の想像は違う意味で裏切られた。

「えっ?希の部屋……ちょっとおかしくない?」
玄関に入った直後に私は部屋に充満する異臭に気づいた。
むせるようなタバコの匂いと、漂うアルコール臭、それに体育会系の部室のような汗臭い空気。
「ん?せやろか?ちょっと掃除せなあかんね」
希は気にする様子もないけど、以前に私が訪れた時とは明らかに雰囲気が変わってる。
ほんの数週間前に来た時には、希の性格を反映したような清潔でさっぱりした感じの部屋だったのに。
だけど今は何かもっと生活感というか、何か希ではない別の誰かが暮らしてる感じがする。
それを裏付けるかのように、私は玄関に脱ぎ捨てるように置かれている一足の靴を見つけた。
「この靴って……」
明らかに男物のスニーカー。それも履き古されてボロボロになった不潔な感じの。
「あ、もうタクヤさん帰っとるんやね」
希は特に隠しだてする様子もなく、私が聞いたことのない男の名前を口にしてる。
私の知る限り、彼女の家族や親戚や知人に<タクヤ>という人物は居ないはずなのに。

「希……タクヤさんって誰なの」
「あぁ、えりちにはまだ紹介しとらんかったね。とりあえず部屋に上がって」
希に手を引かれるように、私は靴を脱いでリビングルームに入った。
そして希が一人暮らしをしているはずのリビングの様相を見た私は思わず絶句した。
「こ、これって……」
テーブルの上には、無数のビールの空き缶と、吸い殻の山になった灰皿が置かれている。
床には男物のジャージや、下着のブリーフ、シャツが乱雑に脱ぎ捨てられ、つけっぱなしのテレビは男女が裸で抱き合う映像が流れている。
『んっ!んっ!タクヤさん。もうウチ、イッてええ?』
テレビのスピーカーから流れる嬌声は聞き慣れた声――そう親友の東條希の感極まった喘ぎ声。
「もう……タクヤさん点けっぱなしにして……」
希は慌てる様子もなく、テレビの映像を見て呟いてる。
こんなのを私に見られても何も感じないなんて……希はやっぱり何かおかしい。
リビングの液晶テレビには見知らぬ男に抱かれて涎をたらしながら、何度もうわ言を繰り返す全裸の希の姿が映ってる。
映像の中の男は、顔にモザイクが掛けられていて、この男が何者かは私には皆目わからない。
だけど丸々と太った男の肌には、無数のシミや斑点があり、薄くなった頭髪や贅肉まみれの腹部からみても中年かそれ以上の年齢の男に見える。
『タクヤさん、チューして。イクときはウチにチューして欲しいんよ』
スピーカーから流れる希の声に促されたモザイク男の唇が希の唇と触れ合い、そのまま激しく舌を絡めてジュルジュルと唾液の交換を始めてる。
(これは夢なの?いったいなんなの?)
立ち尽くす私のことを気にかけることもなく、希は平然と部屋の中で誰かの姿を探してる。
「あ、シャワーの音や。タクヤさんは今お風呂なんや」
そう呟いた希はリビングに私を一人残して、奥のバスルームへと行ってしまった。

「おかしい……希に何が起きてるの?早く……なんとかしないと」
私はリビングを出ようとした。でも身体が言うことをきかない。
逃げるどころか何故か液晶テレビの希と中年男の激しいセックスの映像から目をそらすこともできない。
『あっ、あっ、あっ……出して、出してえぇよ。タクヤさん中に出してえぇよ』
普段のふわっとした性格の希からは想像もできないような、甲高い声がスピーカーから響く。
その希の声に応えるように、メタボ腹のモザイク中年男は腰を律動し、いっそう深く突いた後に動かなくなった。
テレビの中で、太った男が身体をどかすと粘液が糸を引くペニスが大写しになった。
ぐったりしている希の股間からも、ドロリと粘つく白い液体が溢れ出している。
『はぁはぁ……タクヤさん。いっぱい出してくれたんやね……ウチうれしい』
男は避妊具もつけておらず、女子高生の希の胎内に躊躇なく欲望を吐き出したように見えた。
それは私にとっては信じられない、というよりもあってはならないことなのに。
「画面に日付が出てる……6月9日ってことは、これ三日前のビデオなの?」
テレビの右隅に表示された日付は、ちょうど三日前のもので、しかも6月9日と言えば、希の誕生日のはずなのに。
映像に映っている背景のベッドや壁紙には見覚えがある。このマンション――希の寝室の風景に間違いない。
このビデオが本物なら、希は三日前の誕生日に、この自分のマンションで中年男とセックスをしていたことになる。
それも、希も合意の上で妊娠を恐れずに行う激しい膣内射精セックスを。

(何かおかしい、すごくいやな感じがする。逃げなきゃ。今すぐ)
私は恐怖と不安に駆られたけど、どうしても身体は一切言うことをきかなかった。
(動けない!どうして?早くしないと……)
やがて部屋の奥のバスルームから聞こえていたシャワーの音が止まり、希と太った男の人影がリビングに戻ってきた。
「あー。もうウチらのラブラブ・エッチ動画ずっと見とったん?」
恥ずかしそうに頬を赤らめる希は、制服のスカートをめくりあげられてた。
もじもじする希の背後に立つ男が、チェックのプリーツスカートをめくり上げて、希の尻たぶを鷲掴みにしてる。

「ほな、えりちに紹介しよか。こちらがウチのカレシのタクヤさん」
希が上目遣いでウットリと眺める視線の先には、ニキビと無精髭にまみれた中年男が居た。
カレシと紹介された風呂あがりの全裸の男は、むさ苦しい加齢臭を撒き散らしている。
何よりも私がおぞましく感じたのは、男の下半身に屹立するヌラヌラと光る粘液にまみれた性器でした。
「ひっ……ひぃっ!!」
私は思わず引きつるような悲鳴をあげたけど、何故か後ずさりすることすらできない。
「へへへ。はじめまして。えりち。もう効いてるよなオレの精神操作能力」
私の名前を気安く呼んだ男は、<精神操作能力>について自慢気に語り始めた。
「もう気づいてるだろうが、お前の親友のこの巨乳JKはオレのオンナにしてやったよ。色んな意味でな。エリチにも教えてやれよ」
「もう……タクヤさん恥ずかしいからやめて」
中年男に<この巨乳JK>と呼ばれ、まるでモノ扱いされているにも関わらず、希は私に向かって嬉しそうに男との馴れ初めを話し始めた。
「ウチ、なんか知らんけどタクヤさんと目が合うた瞬間から、この人のこと全部好きになってしもうてな……」
頬を赤らめ、もじもじしながら希は続けた。
「その日から、付き合い始めたんよ。いきなりエッチしたいって言われた時はちょっと恥ずかしかったんやけど……」
驚愕の事実を打ち明ける希に、私は目の前が真っ暗になりそうになる。
(こんなの普通じゃない。あんなに学校やμ'sが大好きだった希が、なんでこんな男に……)

「というわけで、癒し系あらためイヤラシ系のこの生徒会副会長さんは、ココロもカラダもオレの支配下にあるわけだ」
寒いオヤジギャクを真顔で言いながら、下半身を欲望にたぎらせた男は希を指差してニヤニヤと笑ってる。
「ウチら付き合い始めてまだ3日なんやけど、どうしてもタクヤさんが、えりちにウチらのことを紹介して欲しい言うてな」
「一応名乗っとくか。オレはキムラタクヤ。よろしくな」
明らかに偽名と分かる名前を告げた男は、メタボリックな脇腹をボリボリと掻きながら私の身体を舐めるようにを見下ろしてる。
「な、素敵な人やろ。タクヤさんにウチが一目惚れしてな。このマンションで一緒に暮らしとるんよ」
希の言葉が真実なら、この醜い太った中年男は初対面の希と三日前に知り合って、そのまま肉体関係を結んだ上に同棲までしているという。
「ウチ、男の人とお付き合いするの初めてでな……めっちゃ胸がワクワク・ドキドキするんよ」
そう言って見つめあう二人だったが、潤んだ瞳の希と対照的に、ヤニまみれの歯を剥き出しにして笑う男の姿が対照的に見える。
「へへへ。今もドキドキしてるようだな」
制服のブラウスの上から、希の豊かなバストを揉み上げる男に、果たして恋心があるのかどうかは怪しい……ていうよりあり得ない。
(この男には下心しかないのは、わかりきってるに……希どうしちゃったの?)

「ところで、頼んでたモノは買ってきたか?」
「うん。買うてきたよ」
男に聞かれた希は嬉しそうに、家電量販店の紙袋を手渡した。
紙袋の中身は、私が想像もしていなかった代物が無数に入ってた。
ハンディマッサージャー、バイブレーター、ピンクローター、浣腸器、アナルプラグ、麻縄や目隠し、猿轡。
ありとあらゆる性具やSM用品が次々とリビングのテーブルに並べられていく。
「あと、生活費ね……。今月のウチの親からの仕送りとウチの神社の巫女さんバイト代の全部」
「おう、悪いな。大事に使うよ」
都市銀行の封筒に入った札束を手渡す仕草は、希が男のことを信頼しきっているように私には思えた。
「これが精神操作ってことなの?ありえない……」
いくら希が一人暮らしで、家族や友人との愛に飢えていたとしても、付き合って3日たらずで、ここまでの信頼関係を築くなんて私には信じられない。

希と男の関係を知った私が驚きと戸惑いで立ち尽くしていた時に、新たな訪問者を報せるチャイムが聞こえた。
「ん?お客さんかな。誰やろ?」
「お、来たか。オレが呼んだ。通してくれ」
「タクヤさんのお客さんなんや……連れてくるね」
希も知らされて居なかったという<客>は、間もなくリビングに通されて姿を現した。
私にとって意外だったのは、その人物が中年男とは違うタイプの外見をしていたことと、男との関係を知った時でした。
「兄ちゃん。久しぶり」
新たな訪問者は、派手なミニスカートを身にまとい、濃い化粧ときつい香水の匂いを漂わせながら中年男に話しかけてる。
「おう、アケミ。遅かったな」
アケミと呼ばれた二十代後半ぐらいの女は、全裸の中年男を見ても気にも止めていないように見える。
謎の女――アケミは、くたびれた体型の中年男とは真逆の抜群のスタイルと、モデルのようなルックスをしている。
どちらかと言うと、ホステスなどの水商売の女のような印象を受ける。

「あの……はじめまして。アケミさん。もしかしてタクヤさんの……」
希は初対面のアケミに恐る恐る声を掛けている。
「妹よ……一応ね」
アケミのしゃべり方は、兄妹と断定していないように私には思えた。
「ふーん。このコが兄ちゃんの新しいカノジョか」
物品を見定めるような目つきで希を見回したアケミは、取り敢えず満足したような表情を浮かべて告げた。
「うん。このコなら、きっといい稼ぎになるよ。で、いつからにする?兄ちゃん」
「今日から頼む。アケミのことも<信頼>するように感応済みだから、なんでも言うことは聞くはずだ」
「わかった。兄ちゃん。じゃあ、このコ借りるね~。もうアポ取ってるし」
「オレ意外は男を知らんから、それなりの値段はつけてくれよ」
この<兄妹>の会話を聞く限り、やはり私には希が人間扱いされていないように思えた。というよりも、完全に商品扱いとしか思えない。
「えっと……ウチが何かすればエエの?」
キョトンとしている希は、兄妹の会話についていけていないし、何も知らされていないように見える。
「悪いな。オレのために今日から夜は追加のバイトして稼いでくれ。仕送りと巫女のバイトじゃオレたちの生活費には足りないからな」
悪びれる風もなく、希に告げた男は先ほど希から受け取ったばかりの生活費の札束を、そのままアケミに手渡した。
「アケミ、コレ小遣いな。希が稼ぐバイト代はいつもの口座に頼む」
金が足りないといいつつ、希から受け取ったばかりの金銭をそのままアケミに渡した男は、続けざまに希に告げた。
「仕送りの口座のキャッシュカードと暗証番号はアケミに渡しといてくれないか。希の身の回りの面倒は全部任せてあるから」
「ん?夜のバイトなん?なんかわからんけど、タクヤさんのためなら……あと、口座情報はアケミさんに全部渡せばエエんよね……」
「の、希!本気なの?あなた騙されて……」
私は必死に希を止めようとしたが、兄妹を信じきっている希には何を言っても無駄でした。

「悪いな希。この後すぐにアケミと一緒に新しいバイト先で働いてくれ。えりちはオレが<おもてなし>しておくから」
「そうなん?ウチはエエけど……えりちごめんな」
初対面のアケミに紹介されるバイト先に、今から連れて行かれることに希にはなんの疑問も無いようだった。
それは、私にとっては、とても恐ろしい事態を招くことを意味してた。
「ひっ……い、いや。待って、希。置いて行かないで、お願いだから」
「えりち。なんにも心配ないよ。タクヤさんは素敵な人でな、めっちゃ<おもてなし>してくれるよ」
無数の性具や拷問具が並べられたリビングに、全裸の男と二人きりになって行われる<おもてなし>が何を意味するかは、恋愛経験がない私でも容易に想像がつく。
だけど男の不気味な能力で心を書き換えられた希には一片の疑問もない。

「あ、兄ちゃん。一応確認するけど、このコって一応デリの契約だけど、全オプ可のNGプレイ無しでいいんだよね?あと顔出しの動画配信もブッキングしてっけど」
アケミは希の目の前で兄のタクヤに最後の確認している。その内容は私にはよくわからないけど、風俗系というか女の身体を売る仕事にしか思えない。
「ああ、構わんよ。もう食っちまったし、ソイツは単なる餌で、オレの本命はコイツだから」
中年男――自称タクヤは私を指差しながらそう告げた。この言葉が真実なら、希は本命でないと言い切ったに等しい。
「あの……タクヤさん。もしかしてウチよりも、えりちのことが……」
さすがに不安げな表情を浮かべる希に、タクヤは優しく声をかける。
「心配ないよ。オレはお前のことが大好きだよ。だって同棲してる仲じゃないか。今日のバイト終わったら帰っておいで」
「そ、そうだよね。ウチもタクヤさんが大好き。めっちゃ好き」
タクヤの言葉一つで希から戸惑いが消えた。やはり洗脳は深く希の脳内を蝕んでいる……というより、希はまるで別人に変わってしまってた。
「うわー。やっすいコだね。ま、その方がやりやすいけど。じゃ、兄ちゃんの<カノジョ>借りるねー」
呆れたように笑うアケミは、制服姿の希を連れてマンションを出て行ってしまった。
「わ、私も帰ります。こんなのは……」
一縷の望みを掛けて、私は全裸の中年男――自称タクヤに頼み込んでみた。しかし、男の態度はそっけなかった。
「じゃあ、ヤろうか。さぁ、寝室はこっちだよ」
私は壁の時計を見た。まだ夕方の4時過ぎで家族の誰かが心配するような時間じゃない…。
「用事があるんです。すぐに帰らないと、家の者が不審に思います」
とっさに私の口から出たのは、でまかせで全部ウソの言葉でした。
男は少し首を傾げて考え込んでいたけど、何かを思いついたように私に思いがけないことを言った。
「そっかー。じゃあ、ちょっと早いけど、えりちの家の人も今からオレの支配下にいれちゃうか」
「えっ?」
私が戸惑っているのをよそに、男は私の鞄の中から許可も得ず携帯電話を取り出して電話をかけ始めた。
「あ、もしもし?絢瀬絵里さんのお宅でしょうか?」
「え?家に電話を?」
男は私が無抵抗なのをいいことに、一方的に通話を続けた。
「えぇ、お嬢さんを今夜お借りしたいと思いまして……はい。そうです朝には返しますので……」
自ら名乗りもせず、私の家族に対して充分な説明もせずに、男は私の身柄を預かる許可を得ている。
「では、そういうことで……あ、そうだ。妹の綾瀬亜里沙ちゃんは居ますか?」
亜里沙の名前を聞いた瞬間、私は思わず身震いした。
「だ、だめ!亜里沙は関係ないわ。関わらせないで!!」
私の願いも虚しく、男は通話を続けた。
「あ、もしもし。亜里沙ちゃん?お姉ちゃんは今晩お泊まりだから……うん。オレと一緒にヤる大事な用事があってね」
「な……なにを」
「うん。今は意味分かんないだろうけど、近いうちにキミも可愛がってあげるね。じゃあ、また今度」
一方的に電話を切った男は、勝ち誇った表情で私を見下ろしている。
「と言うわけで、家族ぐるみのお付き合い成立と。えりちの家族にも<ご了承>頂いたので、朝まで生ハメしよっか」
寒いオヤジギャグを噛ませながら、この見るからにキモい中年男は恐怖に震える私に向かって宣言してる。

「希はラブラブ洗脳したけど、やっぱ催眠の醍醐味は自我を残したままでヤることだよな」
意味不明な独り言を言いながら満足気に頷いている。
「い、いや!いやぁぁっ!!」
一方の私は、自由を奪われた身体をなんとか動かそうとしたけど、自分の足が寝室に向かって歩き出すのを止められない。
「さぁ、入って。僕と希の愛の巣だよ」
男に案内されて入った東條希の寝室は、私にとっては衝撃的な様相に変わり果てていた。
私の知らない間に、希の寝室は女子高生の一人暮らしの寝室とは到底思えない程の変貌を遂げていた。
シングルサイズのベッドには、無数の使用済み性具が放置されていた。
巨大なディルドーや、長大なアナルプラグ、手錠や猿轡、ロープや鎖といったSM用の責め具まである。
「全部、<性活>必需品だと言って希の生活費で買わせたんだけど、本人はすごく悦んでたぜ。もうコレがないと生きていけないってな」
私の恐怖を増大させたのは、大量の使用済みイチジク浣腸の容器が寝室の床に捨てられていることでした。
男がこの部屋で同棲しはじめて3日足らずだというのに、この寝室の変わりように、私は男の性癖が垣間見たような気がした。
そんな中年メタボ男に今から純潔を奪われる……。
寝室の中には複数のカメラや照明、三脚などの撮影機材まで所狭しと並べられてる。
これで、あの希のエッチ動画を撮っていたってことは……もしかして今から私も撮られて……。
「えりちにとって、最高の一夜にしてあげるよ。初めてだろうから、いっぱいクスリ使ってあげようね」
ベッドサイドのテーブルの上に置かれていた、注射器と粉薬、数えきれない程のカプセルが、どんな薬物なのか考えたくも知りたくもなかった。
「ちょーっとクセになるおクスリだけど、きっと気に入ってくれるはずだよ」
「たすけて……だれか、だれかたすけて……」
囁くような小声で助けを求める私に、救いの手を差し伸べる者は居ない。
意思とは無関係に、自ら袖をまくり上げて自分の腕を差し出すのを私は止められない。
男が慣れた手つきで注射針を静脈に刺し、透明な薬液が注ぎ込まれていくのを、私は黙って見守るしかなかった。
「やめ……やめて、おねがい。おねがいします」
「ひひひ。やっぱ、その涙がたまんねぇ。ヤる前の高揚感ハンパねぇ」
徐々に薬液を注入する男の下半身が、はちきれんばかりに勃起しているのが目に入った。
恐怖、不安、羞恥と屈辱……意識と自我を残された理由を私は思い知らされていた。
「朝まで寝かせないよ」
「や、やめ……んっんぐぐ」
初めてのキスはタバコのヤニの味だった。
有無を言わせず奪われた唇は、侵入してくる男の舌と粘ついた唾液で穢されていく。
静脈に投与された薬物が、私の心と体を蝕んでいく。
(ふわふわする……こんなに気持ち悪いのにキモチイイ……あぁ、だめ……)
「さっそくロシアン・クォーターの処女JKマンコいただくか。明日は妹のJCマンコも食ってやる。この能力、マジ使えるな」
ベッドに押し倒され、プリーツスカートをめくられても、私にはもう抵抗も悲鳴もあげられる力はなかった。
「おねがい。おねがい……や、やらぁ、いやらぁぁ」
もう私は呂律が回らないし、意識もぼんやりして来てる。
「いい思いさせてやっから、オレも楽しませてくれよ」
精神と身体を歪められた私の地獄の初夜は始まったばかりでした。

第二話


「いらっしゃいませ~」
わたしがそのお客さまに気づいたのは、閉店間際のメイドカフェのアルバイトで接客応対中のときでした。
「こんにちは。ことりちゃん」
一番奥のテーブル席に掛けていたのは、同級生で生徒会副会長でわたしと同じスクールアイドルグループ・μ'sのメンバーの東條希ちゃんでした。
「えっ?希ちゃん?!」
思わず、名前を呼んでしまった後、慌ててメニュー表でわたしは自分の顔を隠しちゃいました。
っていうのも、μ'sのみんなや知り合いには、このメイドさんのバイトのことは、ないしょだったからなんです。
メイドのバイトは、自分の才能を伸ばしたくて始めたのだけど、可愛いメイドさんコスチュームが大好きで、ずっと続けてるお仕事でした。
「ことりちゃん。何で隠れるん?このメイドカフェでバイトしとったんやね」
希ちゃんに言われて、あらためてわたしはメニュー表をちょっと下げて希ちゃんを覗き込みました。
音ノ木坂学院の制服姿の希ちゃんは、もう一人の女性のお客さまとご一緒でした。

「こちらはアケミさん。ウチの彼氏の妹さんなんよ」
「フフフ。はじめまして、あなたが南ことりちゃんね」
希ちゃんに紹介されたアケミさんは、ちょっと派手目のお化粧と、際どい感じのお洋服に身を包んだ大人の女性でした。
っていうか希ちゃん、今『彼氏』って言ってた?
「え、えっと。希ちゃんの彼氏の妹さん?」
「うん、タクヤさんの妹さん。ことりちゃんには紹介してなかったけど、ウチらお付き合い始めたばっかりなんよ」
タクヤさん……聞いたこと無い男の人だけど、希ちゃんがお付き合いしてるなんて、ちょっとビックリしちゃった。
「今日、えりちにはタクヤさんのこと紹介したんよ。えりちもウチらのお付き合いを喜んでくれてな……」
嬉しそうに話す希ちゃんを見てると、きっとタクヤさんって素敵な人なんだろうな。希ちゃんって真面目で癒し系だから男の人にモテそうだし。

「南ことりちゃん……メイド服姿かわいいわね。さすがμ'sのメンバーだけあるわ」
アケミさんがメイド姿の私を見ながら、ニッコリ笑いました。
でも、わたしにはアケミさんという女性に、なにか不思議な……不気味な雰囲気を感じ取って思わず目を逸らしてしまいました。
「あ、そうだ……えっと、ご注文はお決まりでしょうか?」
突然の希ちゃんの訪問に驚いて、おもわず私語がでちゃったけど、ちゃんと接客しないと。
「ウチはハーブティーおねがいね」
「私はエスプレッソとシャーベットにするわ」
「かしこまりました。ごゆっくりどうぞ」
ちょっとあわてちゃったけど、マニュアルどおりにオーダーを受けてキッチンへ伝えます。
でも、なんで希ちゃんこのカフェに来たんだろう。ていうか、あのアケミさんって人なんだかこわい。

お茶を淹れて給仕しようと、わたしが準備してると、希ちゃんのテーブル席にもう一人のお客さまがいらっしゃいました。
すこし太った大学生風の男性のお客さまが同じテーブルに向かっています。
(希ちゃんとアケミさんと、あの男の人って待ち合わせだったのかな?)
給仕プレートとメニュー表を持って、テーブルに伺うと希ちゃんたちの会話が聞こえてきました。
「この娘?マジ可愛いんだけど!すげー好み。超アタリじゃん」
「では、チェンジなしでいいわね?フルオプションの1時間の予約だったはずよね?」
「もちチェンジなしで。延長はOK?」
アケミさんと男の人のお話しが弾んでいるようです。
一方の希ちゃんは、よくわからないのかキョトンとしている感じでした。
「ご注文の品おとどけにあがりました。そちらのお客さまは……」
「あ、ボクらはすぐ出て行くから」
男の人は、冷房が効いた店内でも滝のように流れる汗を拭きながら、もう一方の手で希ちゃんの手を握っています。
もしかして、この人が希ちゃんの彼氏さん?でも、希ちゃんの様子は少し緊張していて、まるで初対面のように見えるけど。
一方のニヤニヤしながら希ちゃんをじっと見ている男の人の外見は、このメイドカフェがある秋葉原でよく見かけるようなタイプの人です。
いわゆる、ちょっとコアな趣味を持った――世間ではオタク系と呼ばれる類の人っぽいのですが。
「へへへ。ボクの童貞歴も今日でおわりだね。マジでサイコーじゃん」
アニメの美少女キャラのアクセサリーでデコレーションされたバッグやお洋服は、このお店では特に珍しくはないけど……。
わたしが気になったのは、この男の人が希ちゃんの胸や顔ばかりみていることと、<前金>と言ってアケミさんにお札を何枚か渡していたことです。
まるで、援助交際のような……。でも、そんなはず無いよね。希ちゃんは生徒会副会長だし。

「アケミさん?ウチどうすればエエの?この人がお客さんなん?」
「そう、この人が最初のお客さん。終わりの時間になったら電話入れるわ」
お茶をテーブルに並べるわたしに、希ちゃんはニッコリわらって声を掛けてきました。
「ごめんな。せっかくのお茶なんやけど、今日は無理みたいやね。ウチ今から<バイト>なんよ」
希ちゃん。今からこの太った男の人とバイトなのかな?
もうすぐ日が暮れる時間だけど……。
「さ、いこうぜ。のんたん。もう、お部屋は取ってあるからさ」
「ほなウチ行くね。ことりちゃんバイバイ」
「タクヤお兄ちゃんのためにもJKレンタルのバイトがんばってね~。そのお客さんの言うことに従うだけだから」
男の人と希ちゃんは、ぎゅっと手を繋いでお店を出て行きました。
心なしか、希ちゃんが嫌がってるというか割り切ってる感じもしたけど……
それにJKレンタルって言ってたけど……あの希ちゃんが、まさかそんなバイトはしてないよね。

お店を出て行く間際に男の人が希ちゃんに話しかけている声がちょっとだけ聞こえました。
「へぇ、のんたんって最近までカレシ居なかったんだ。ていうか、初体験が三日前で経験一人だけってマジかよ。ド新人じゃん」
いったいどういう関係のバイトなのか、わたしは不安になりましたが、わたしを呼ぶアケミさんの声で、すぐに自分のお仕事に引き戻されました。
「メイドさん。追加オーダーいいかしら?」
「す、すみません。うけたまわります」
アケミさんにメニュー表をお渡ししたわたしは、オーダー表を取り出して注文を待ちました。

「じゃあ、南ことりの<コモンセンス>と<ファイブセンス>を」
「え?こもんせんす?」
メニューには載っていないご注文に、わたしは思わずオウム返しをしてしまいました。
「そう、コモンセンス、ファイブセンス――常識と五感ね。あと、この店のオーナー権も」
アケミさんの言葉を受けて、なにかわたしは心の奥に電撃が走ったような衝撃を受けました。
初めて聞くオーダーに、わたしは戸惑うばかりでしたが、よくメニュー表を見るとなにか文字が浮かんできました。
『メイドの人権・人格・私物 : 無料でご提供いたしております』という文字がわたしにはハッキリと<見え>ました。
それと、アケミさんって、このメイドカフェのオーナーだったんだ!

「あなただけじゃないわよ。このお店の客もスタッフも全員の思念や想念、感覚を制御下に置いたから」
「しねん?そーねん?えっと……」
戸惑うわたしに、アケミさんはテキパキと指示を出してきます。
「じゃあ、ことりちゃん。今から<VIPタイムサービス期間>のシフトに入るから、早速あのお客さんにご奉仕してくれない?」
「は、はい。お客さま……じゃなくってオーナーさん」
<VIPタイムサービス>というのは初耳でしたが、言われてみればそんな業務があった気もします。

「あのお客さんは、一応ワタシの<お兄ちゃん>だからよろしくね。あと、あっちのテーブルの人も<お兄ちゃん>」
ラストオーダー前のお店には、数人の男性客が残ってたのですが、アケミさんは全員お兄さんだと言っています。
でも、アケミさんの言葉が間違ってるはずもなく、みなさん大事なお客さまで、アケミさんのお兄さまなのでしょう。
そう言えば、希ちゃんの彼氏もアケミさんのお兄さんだと、希ちゃん自身が言ってたような。
とにかく、アケミさんの指示通り、あの3番テーブルのお客さまにご奉仕しないと。

3番テーブルのお客さまは、常連さんで閉店間際に来てはわたしに声をかけてくる人でした。
分厚いメガネを掛けて甲高い声が特徴的な男の人で、わたしを勝手に『ミナリンスキー』と呼んでる人です。
以前にバイト後の出待ちをされて、しつこくプライベートでのデートのお誘いをされたので、ちょっと苦手な人なのですが。
「ご注文はお決まりですか?」
「さっき、そこのオーナーとか言う女の人から貰ったこのクーポン使えるよね?」
お客さまが示された紙切れには、手書きの文字が書かれてます。
「えっと……<A:コンドーム着用限定・店内本番>または<B:キス&素股サービス(射精後清拭)>」
よくわからない単語が多いのですが、それとなくAが挿入されて、Bはそうじゃないことがわかります。
そんな品目はメニュー表にはなかった気が……あれ?メニューに書いてある?
メニューに、うっすら字が浮かんで見えます『メイド・キス(120円)、素股(250円)、ゴム本番(800円)』こんなのあったかな?

「あ、あの……わたし、そのまだ……」
突然の<無料クーポン・サービス>に戸惑うわたしは、思わず言葉をつまらせてしまいました。
「初めてなの?処女なの?仕方ないなオススメのサービスで我慢してやるよ。どっちかをオススメしてよ」
お客さまは、わたしが未経験であることを何故か喜んでいるように見えました。
「え、えっと、わたしはBの方を……」
「ボクは本番が良かったけどなー。ま、いっか。今はコンドーム持ってねぇし」
仮にコンドームがあったとしても、わたしはタンポンも挿れたことのないアソコに男の人のモノを挿れられるのは無理です。
とても怖いし病気も不安だし……。

「えっと……キスはソフトとディープがございますが」
普段と違う気がするメニュー表を見ながら、わたしはお客さまのご注文を伺います。
「ディープでたのむよ」
(ディープキス……この眼鏡の人とわたしが……ファーストキスなのに)
わたしは正直いって、逃げ出したい気分でしたが、3番テーブルのお客さまは舌なめずりして私の奉仕を待っています。
「あ、あの……わたし初めてなので、お口にあうかどうかわかりませんが」
目を閉じて、そっと唇を差し出すと、お客さまはすぐに私の唇を奪いました。
「んぐ……んむむ」
閉じていたわたしの唇は、お客さまがねじ込んできた舌で強引に開かれてしまい、ものすごい勢いでお客さまが唾液を流し込んできます。
お客さまが先ほどまで召し上がられていた、カツカレーの匂いと味が絡め取られた私の舌に伝わってきます。
クチャクチャ、ジュルジュルという唾液交換の音と、食べかけのカレーの味がわたしのファーストキス体験になりました。
こんな事なら、<VIPタイムサービス>のシフトはお断りすればよかったと後悔しましたが、もう後戻りできません。

目を閉じて、お客さまのキスのお召し上がりを待っていると、耳元で『カシャリ』という電子音が何度も聞こえました。
そっと薄目を開けて覗いたわたしの視界には、スマホで自撮りしているお客さまが見えました。
(えっ?撮られてる?たしか店内での撮影は……そっか、お客さまとのツーショットはOKだっけ)
うろ覚えですが、そういう風に『就業規則で決まっていた』気がします。たしか以前はメイドの撮影は禁止だったけど……。
気が付くと、わたしとお客さまのキスは他のお客さまも撮影してらっしゃいます。
2番テーブルのパンクファッションのお客さま、5番テーブルの髪の長い男性客。4番テーブルの女性客のお二人さま。
皆さん、わたしのファーストキスを何枚も撮っていました。
恥ずかしくて、とても嫌な感じがしましたが、お仕事なので仕方がないです。
いったいどれぐらいの間、わたしのディープキスのお召し上がりをしていたか覚えてませんが、ようやくお客さまは唇を離してくださいました。
わたしに対して普段からストーカーまがいの行為をするお客さまでしたが、店内でのサービスには絶対に応えないといけません。
「ハァハァ……たまんねぇ。メイドの生キスたまんねぇ、次は素股たのむよ。まずスカートめくり上げてよ」
わたしがゆっくりとロングのフリルスカートをめくり上げると、パニエとドロワーズが丸見えになりました。
そうなんです、このカフェのメイド制服には、スカートを膨らませるためのパニエ、そして下着を隠すためのドロワーズがあります。
「うわー。多重構造だー。さすが正統派メイドカフェ。これドロワーズっていう見せパンだよね?コレも剥いちゃえ」
わたしの心の準備が出来る前に、お客さまはパニエをめくり上げてドロワーズを引き下ろしました。

「アケミさん?ウチどうすればエエの?この人がお客さんなん?」
「そう、この人が最初のお客さん。終わりの時間になったら電話入れるわ」
お茶をテーブルに並べるわたしに、希ちゃんはニッコリわらって声を掛けてきました。
「ごめんな。せっかくのお茶なんやけど、今日は無理みたいやね。ウチ今から<バイト>なんよ」
希ちゃん。今からこの太った男の人とバイトなのかな?
もうすぐ日が暮れる時間だけど……。
「さ、いこうぜ。のんたん。もう、お部屋は取ってあるからさ」
「ほなウチ行くね。ことりちゃんバイバイ」
「タクヤお兄ちゃんのためにもJKレンタルのバイトがんばってね~。そのお客さんの言うことに従うだけだから」
男の人と希ちゃんは、ぎゅっと手を繋いでお店を出て行きました。
心なしか、希ちゃんが嫌がってるというか割り切ってる感じもしたけど……
それにJKレンタルって言ってたけど……あの希ちゃんが、まさかそんなバイトはしてないよね。

お店を出て行く間際に男の人が希ちゃんに話しかけている声がちょっとだけ聞こえました。
「へぇ、のんたんって最近までカレシ居なかったんだ。ていうか、初体験が三日前で経験一人だけってマジかよ。ド新人じゃん」
いったいどういう関係のバイトなのか、わたしは不安になりましたが、わたしを呼ぶアケミさんの声で、すぐに自分のお仕事に引き戻されました。
「メイドさん。追加オーダーいいかしら?」
「す、すみません。うけたまわります」
アケミさんにメニュー表をお渡ししたわたしは、オーダー表を取り出して注文を待ちました。

「じゃあ、南ことりの<コモンセンス>と<ファイブセンス>を」
「え?こもんせんす?」
メニューには載っていないご注文に、わたしは思わずオウム返しをしてしまいました。
「そう、コモンセンス、ファイブセンス――常識と五感ね。あと、この店のオーナー権も」
アケミさんの言葉を受けて、なにかわたしは心の奥に電撃が走ったような衝撃を受けました。
初めて聞くオーダーに、わたしは戸惑うばかりでしたが、よくメニュー表を見るとなにか文字が浮かんできました。
『メイドの人権・人格・私物 : 無料でご提供いたしております』という文字がわたしにはハッキリと<見え>ました。
それと、アケミさんって、このメイドカフェのオーナーだったんだ!

「あなただけじゃないわよ。このお店の客もスタッフも全員の思念や想念、感覚を制御下に置いたから」
「しねん?そーねん?えっと……」
戸惑うわたしに、アケミさんはテキパキと指示を出してきます。
「じゃあ、ことりちゃん。今から<VIPタイムサービス期間>のシフトに入るから、早速あのお客さんにご奉仕してくれない?」
「は、はい。お客さま……じゃなくってオーナーさん」
<VIPタイムサービス>というのは初耳でしたが、言われてみればそんな業務があった気もします。

「あのお客さんは、一応ワタシの<お兄ちゃん>だからよろしくね。あと、あっちのテーブルの人も<お兄ちゃん>」
ラストオーダー前のお店には、数人の男性客が残ってたのですが、アケミさんは全員お兄さんだと言っています。
でも、アケミさんの言葉が間違ってるはずもなく、みなさん大事なお客さまで、アケミさんのお兄さまなのでしょう。
そう言えば、希ちゃんの彼氏もアケミさんのお兄さんだと、希ちゃん自身が言ってたような。
とにかく、アケミさんの指示通り、あの3番テーブルのお客さまにご奉仕しないと。

3番テーブルのお客さまは、常連さんで閉店間際に来てはわたしに声をかけてくる人でした。
分厚いメガネを掛けて甲高い声が特徴的な男の人で、わたしを勝手に『ミナリンスキー』と呼んでる人です。
以前にバイト後の出待ちをされて、しつこくプライベートでのデートのお誘いをされたので、ちょっと苦手な人なのですが。
「ご注文はお決まりですか?」
「さっき、そこのオーナーとか言う女の人から貰ったこのクーポン使えるよね?」
お客さまが示された紙切れには、手書きの文字が書かれてます。
「えっと……<A:コンドーム着用限定・店内本番>または<B:キス&素股サービス(射精後清拭)>」
よくわからない単語が多いのですが、それとなくAが挿入されて、Bはそうじゃないことがわかります。
そんな品目はメニュー表にはなかった気が……あれ?メニューに書いてある?
メニューに、うっすら字が浮かんで見えます『メイド・キス(120円)、素股(250円)、ゴム本番(800円)』こんなのあったかな?

「あ、あの……わたし、そのまだ……」
突然の<無料クーポン・サービス>に戸惑うわたしは、思わず言葉をつまらせてしまいました。
「初めてなの?処女なの?仕方ないなオススメのサービスで我慢してやるよ。どっちかをオススメしてよ」
お客さまは、わたしが未経験であることを何故か喜んでいるように見えました。
「え、えっと、わたしはBの方を……」
「ボクは本番が良かったけどなー。ま、いっか。今はコンドーム持ってねぇし」
仮にコンドームがあったとしても、わたしはタンポンも挿れたことのないアソコに男の人のモノを挿れられるのは無理です。
とても怖いし病気も不安だし……。

「えっと……キスはソフトとディープがございますが」
普段と違う気がするメニュー表を見ながら、わたしはお客さまのご注文を伺います。
「ディープでたのむよ」
(ディープキス……この眼鏡の人とわたしが……ファーストキスなのに)
わたしは正直いって、逃げ出したい気分でしたが、3番テーブルのお客さまは舌なめずりして私の奉仕を待っています。
「あ、あの……わたし初めてなので、お口にあうかどうかわかりませんが」
目を閉じて、そっと唇を差し出すと、お客さまはすぐに私の唇を奪いました。
「んぐ……んむむ」
閉じていたわたしの唇は、お客さまがねじ込んできた舌で強引に開かれてしまい、ものすごい勢いでお客さまが唾液を流し込んできます。
お客さまが先ほどまで召し上がられていた、カツカレーの匂いと味が絡め取られた私の舌に伝わってきます。
クチャクチャ、ジュルジュルという唾液交換の音と、食べかけのカレーの味がわたしのファーストキス体験になりました。
こんな事なら、<VIPタイムサービス>のシフトはお断りすればよかったと後悔しましたが、もう後戻りできません。

目を閉じて、お客さまのキスのお召し上がりを待っていると、耳元で『カシャリ』という電子音が何度も聞こえました。
そっと薄目を開けて覗いたわたしの視界には、スマホで自撮りしているお客さまが見えました。
(えっ?撮られてる?たしか店内での撮影は……そっか、お客さまとのツーショットはOKだっけ)
うろ覚えですが、そういう風に『就業規則で決まっていた』気がします。たしか以前はメイドの撮影は禁止だったけど……。
気が付くと、わたしとお客さまのキスは他のお客さまも撮影してらっしゃいます。
2番テーブルのパンクファッションのお客さま、5番テーブルの髪の長い男性客。4番テーブルの女性客のお二人さま。
皆さん、わたしのファーストキスを何枚も撮っていました。
恥ずかしくて、とても嫌な感じがしましたが、お仕事なので仕方がないです。
いったいどれぐらいの間、わたしのディープキスのお召し上がりをしていたか覚えてませんが、ようやくお客さまは唇を離してくださいました。
わたしに対して普段からストーカーまがいの行為をするお客さまでしたが、店内でのサービスには絶対に応えないといけません。
「ハァハァ……たまんねぇ。メイドの生キスたまんねぇ、次は素股たのむよ。まずスカートめくり上げてよ」
わたしがゆっくりとロングのフリルスカートをめくり上げると、パニエとドロワーズが丸見えになりました。
そうなんです、このカフェのメイド制服には、スカートを膨らませるためのパニエ、そして下着を隠すためのドロワーズがあります。
「うわー。多重構造だー。さすが正統派メイドカフェ。これドロワーズっていう見せパンだよね?コレも剥いちゃえ」
わたしの心の準備が出来る前に、お客さまはパニエをめくり上げてドロワーズを引き下ろしました。

「きゃっ!」
「おー。イチゴのパンツだねー。萌える!」
周囲のテーブルのお客さまの視線が、一斉にわたしの下半身に集中しているのがわかります。
お店の中でお客さまに普段着のいちごのパンツを見られるなんて想像もしてなかった。
「じゃ、最後の装甲も剥がしちゃうぞ」
「えっ……こころの準備が……ひっ!」
<素股>のためには脱がないといけないのは理解しています。
でも、なんだかやっぱり何かが不自然な気持ちも捨て切れませんでした。
「へへへ。そーれ」「あっ……ああっ」
お客さまの掛け声と私の悲鳴が店内に響き、あっという間に私物の下着は足首まで剥き下ろされました。
もう覆うものが無い、わたしの下腹部は店内のお客さまの皆さんの衆目に晒されました。
「ふーん。チョットは生えてるんだね。でも可愛いマン毛だなー」
(やだ……わたしのアソコの毛を言われてる)
恥ずかしさにブルブルと震えるわたしでしたが、スカートを下ろして隠すことはメイドのサービスとして認められません。
「じゃあ、そこの長椅子に横になって。素股おねがいするよ」
言われたとおりに、仰向けになったわたしは、フリルスカートをめくられて丸見えの股間でお客さまの待ち受けます。
「正常位風でこするね。クリちゃん剥いちゃっていい?」
「あ、あのっ……ひぃッ、うぅぅ」
私が答える前に、陰部の中心を指で摘まれてクリトリスを剥き出しにされてしまいます。
それどころか、お客さまはクリトリスを指の腹で愛撫してくるのです。
(やめてぇっ!!そんなところ揉まれたら)
ガクガクと震えるわたしを見たお客さまは、愛撫を止めるどころか緩急をつけてさらに責め立ててきます。
「んっ!!んんぅっ!!」
口を両手で塞いでも、どうしても艶っぽい声が出てしまいます。
抑えきれない喘ぎ声は、周囲のお客さま方にも聞こえているはずです。
「おい、あのメイドって、もうイッてねぇ?」
「かわいい顔してさ、まんざらでもないみたいだな。見られると感じるタイプじゃね?」
隣のテーブルのお客さまの声が、どうしても耳に入ってわたしを悩ませます。
(ちがうんです……こんな事されるなんて。こんなのわたし……)
お客さまの執拗なクリトリス責めが続き、やがてアソコからクチュクチュと音が聞こえてきました。
(いやだ……濡れてる?どうして?)
誰にも触らせたことがないアソコが、名前も知らない人の愛撫で濡れてしまうなんて……。

「じゃあ、そろそろチンポでクリちゃんをこするよ」
お客さまの声に答える間もなく、わたしの陰部は勃起したお客さまの性器で擦り上げられました。
「あ、あぁっ!!」
アソコが……クリトリスが直接刺激されると、まるで電気が走ったような快感が襲ってきました。
「ひぃっ!わ、わたし……も、もっとゆっくり、おねが……ひぃっ」
長椅子で抱き合うわたしとお客さまの声が店内に響いています。
そんなわたしたちを見ている、4番テーブルの女性客のお二人の声が耳に入りました。
「ねぇ、見てよ。あの娘かなり感じてない?ただの素股でイキそうだよ?」
「あの娘ってクリ・オナニーもしたことないんじゃない?だって、さっき見えたクリ皮がピンクだったしさー」
女性のお客さまの言うとおり、わたしはオナニーはしたことがないのですが、生まれて初めて味わうクリトリスの刺激がこんなに強いなんて……

女性のお客さまにも見られて、ヒソヒソと話をされているという恥ずかしさに、わたしは顔を紅潮させてお客さまに小声でお願いしました。
「お、お客さま……これ以上は、わたし困ります。もう少しやさしく……」
「そう?じゃあ、クリ素股じゃなくて、小陰唇素股にするね」
お客さまはわたしの返答をまたずに、先端をわたしの割れ目に押し付けてきました。
「えっ?そ、そこは……は、入ってしまいます」
慌てて下半身を覗いたわたしは、ヌラヌラと光るお客さまのアソコの先端が、わたしの秘部に触れているのに気づきました。
でも、もうお客さまは腰に力を入れ始めていて、徐々にわたしのアソコが開かれていくのを止められません。
「だ、だめです。お、お客さま」
「ハァハァ、先っちょだけだから。ね、いいでしょ?ねっねっ」
耳元で囁くお客さまの息が次第に荒く、早くなっていきます。
先程までの快感とは正反対の痛みが、下半身からビリビリと伝わってきます。
下半身に感じる刺すような痛みは、お客さまが腰を前後に動かすたびにひどくなっていきます。
(このままお客さまが腰を入れたら……こわい、やめて)
まるで、切り裂かれるような激痛とは対照的に、お客さまは気持ちよさそうに笑顔を浮かべています。
「い、いたい……お客さま、これって、入って……入ってませんか?」
「大丈夫。大丈夫。ハァハァ、先っちょだけ。絶対に挿れてないから」
押し倒され、下半身がフリルスカートに隠れて見えないわたしは、お客さまの言葉を信じるしかありません。

しかし、そんな希望を打ち砕くような激痛が走りました。
「いっ!ひぃぃっ!!い、いたい。痛いですっ。お、お客さま。お客さま」
「だいじょうぶ。入ってない。まだ大丈夫だって」
信じるしか無いわたしに、周囲のテーブルのお客さまの話し声が耳に入ってきます。
「あーあ。生でズボズボ入ってるし。アイツ、亀頭を子宮口までねじ込んでんじゃねーの?」
「素股って言っておいて生ハメしちゃうのはルール違反だよなー。ハメた瞬間もバッチリ撮れてるから、あとでネットに晒し上げしてやるか」
わたしのサービスをスマホで許可無く撮影していた、2番テーブルの男性のお客さまの声が聞こえます。
その呆れたような声は、ハッキリとわたしの<素股>サービスを見て笑っているように思えました。
4番テーブルの女性客のお二人も、ヒソヒソとわたしのサービスを横目にお話しをしています。
「ねぇねぇ。アソコから血が出てんじゃない?。アレって処女膜もう残ってないよね」
「あんなキモいのに初エッチ捧げちゃってさーかわいそー。ていうか、アイツそのまま中で出す気じゃない?」

<初エッチ><中で出す気>とまで言われると、もうわたしは我慢できませんでした。
「あ、うぅぅ。お客さま……やっぱり入って……入っていま……んぐぐ!!」
わたしがあげたお願いの声を遮るように、お客さまは唇を合わせて舌をねじ込んできます。
マナー違反の注意はメイドの業務として認められていますが、それ以上のことは出来ません。
ディープキスで舌を絡めとられては、もう口頭での注意は不可能でした。あとは<素股>で満足してもらうしかないのです。
わたしの顔にかかる、お客さまのむせるような鼻息がピークに達したとき、激しく前後に律動していたお客さまの腰の動きが突然止まりました。
そして、そのままお客さまが余韻を楽しむように、キスを続けている最中も、わたしの下半身の内部では何かがピクピクと痙攣していました。
長い長いキスからようやく解放されたときのお客さまの第一声は、一生忘れられないものでした。
「あーごめんごめん。つい勢いで入っちゃってさ。チョットだけ中に出ちゃったよ」
頭をポリポリ掻きながら、もう一方の手の指で『チョット』のジェスチャーをしています。

その一部始終を見ていた女性のお客さま二人は、なにか蔑むような目で、わたしとお客さまを見ています。
「ほら、アイツやっぱり全部中に出しちゃったよ。まぁ、それがメイドさんの仕事だから仕方ないけどね」
「でもさ、ひどいよねー。わざわざ素股をメイドさんに選ばしといてゴム無しでヤっちゃって既成事実化とかさ」
「さっきのカラミを動画に撮ったけどさ、コイツ出す直前に、わざわざキスして口塞いでやがんの」
「抜く素振りも見せないし。『勢いで』とか『チョット』とか言い訳しちゃってさ。笑っちゃうよね」
女性のお客さまは同情とも哀れみとも取れる表情で、隣のテーブルからわたしを見下ろしていました。

下半身からズキズキと伝わる痛みに、わたしはしばらく呆然としていたようです。
(初めては大好きな人にって……だがら<素股>をお願いしたのに、名前もしらない人にわたしの初めてを……)
お仕事だから仕方がない……そう思っても頬を伝う涙を止めることはできませんでした。
「じゃあ、クーポン置いとくね。もう舐め掃除はしなくていいから」
<B:キス&素股サービス>のチェック欄に丸を書いて印をつけたクーポン券をテーブルに置いたまま、3番テーブルのお客さまは退店されてしました。
「サービスとってもよかったよ。あと、生脱ぎパンツは記念にもらっとくね」
レジの方から去り際に言い残されたお客さまは、私が履いていたパンツを持って逃げるようにお店を出て行かれました。
そう言えば、メイドの私物は無料サービスの一部としてご提供されることになっていました。

この後も、別のテーブルのお客さまに呼ばれたわたしは接客業務を続けました。
4番テーブルの女性客お二人は、わたしの<破瓜>をよく見たいとおっしゃりました。
「もっと脚を開いてよ。中がよく見えないじゃない」
「うわー。ホントに中に出ちゃってるね。この白いネバネバって、あのキモヲタの精液だよね。パニエも血まみれじゃん」
わたしにM字開脚を要望し、剥き出しの性器の中を観察したり、スプーンで粘液と膣内の出血を掬ったりされました。
「ねぇねぇ、初めてってどんな感じ?ていうか、あなた今日って安全日なの?アソコの中すごいことになってるけど」
「ていうか、中出しってさエロゲやエロ漫画と違ってさ、『熱いっ』とかってないよね。出されたことが女の子の方は分かんないよね?」
ケラケラ笑いながら、初体験の感想を聞かれたわたしは、なぜか涙があふれるのを止められませんでした。
「記念写真を撮ろうよ。ほらメイドさん、M字開脚のままダブルピースして笑って」
「で、でも……それは」
「タイムサービス中はメイドの撮影はOKなんでしょ。大丈夫よ。個人的な写真にしとくからさ」
本当は写真を撮られるのは嫌でしたが、接客業務の一環として断ることは出来ません。
それに、このお客様の個人的な写真とおっしゃっていますし……。
わたしがコクリと頷き言われたとおりの恥ずかしいポーズをとると、複数のシャッター音が店内に響きました。
どさくさに紛れるように、他のテーブルのお客さまのスマホのフラッシュが光っているのも見えました。
個人的な写真にするとおっしゃっていたお客様のスマホ画面を、何気なくわたしは見てしまいました。
そのお客さまのスマホの<共有>フォルダにわたしのダブルピース写真が保存されていたのが見えた時には、少し悲しい気分になりました。
もう、マナー違反を注意する気力も失せたわたしは、とにかく早くシフトを終えることだけを考えていました。
なんとかお客さまのご質問や撮影のリクエストへの応対を果たすと、わずかながらのチップを頂きました。
この店では本来はチップは禁止されていますが、<VIPタイムサービス>中は例外みたいです。
「それ、メイドさんへのご祝儀ね。初エッチおめでとう」
「無料クーポンで捧げちゃったんだよね。だから私たちからせめてもの気持ちよ」
ニヤニヤと笑顔を浮かべるお客さまの本当の気持ちはわかりません。
ですが、チップをお断りするのも失礼ですから、ありがたく受け取りました。
使い古された1000円札を2枚も頂いた私は、お辞儀をしてお二人の女性客をお見送りいたしました。
「ありがとうございます……またのご利用をお待ちしております」

お見送りを終えて、一旦カフェのバックヤードに戻ることができたわたしは、どうしても嗚咽を抑えられませんでした。
「うぅぅ……どうしてこんな……」
さっき、ほとんど無理矢理に挿れられて射精されたことが心配になったわたしは、チーフさんに相談してみました。
「あ、あの……チーフさん。さっき3番テーブルのお客さまが無料クーポンで強引に……」
「見てたわよ」
普段は優しい女子大生のバイトチーフさんが、今日に限っては何故か冷たい視線をわたしに浴びせてきます。
「あれは、ことりさんがいけないのよ」
「そんな。でも注意する間もなくて。それにもし……赤ちゃんできたら、わたしどうすればいいですか?」
「知らないわよ。お店から避妊や中絶の手当ては出ないわよ。それに中絶は膣内に出した、あのお客さまの同意書も得ないと無理よ」
「中絶の同意書……ですか?でも、あのお客さまのことを、わたしは知らないんです……」
わたしの純潔を奪って、逃げるようにして去った男の人が戻ってくるのか不安です。
「聞いとけばよかったのにさ。ていうか、もう店に来ないかもね。まぁ、素股で生ハメ中出しをやっちゃったんだから、もう出入り禁止よ」
チーフさんは冷たく言い放ち、舌打ちまでしています。
何とかあのお客さまに連絡しないと、もし妊娠してたら……わたし、学校にもμ'sにも居られなくなってしまいます。
「それなら、お客さま会員登録データを見せて頂いて……」
「駄目よ。個人情報は従業員に明かせないわ。それにどうせ捨てアカと嘘住所登録でしょ」
「だいたい、ちょっとかわいいからって、ちやほやされてさ。産めばいいじゃん。ママになればいいじゃん」
チーフさんの冷笑は、わたしへの本心なのでしょうか?
「ほら、あの5番テーブルのキモヲタが呼んでるわよ。頑張ってご奉仕して来なよ」
チーフさん自身は決してホール業務に出ようとはしないようです。お客様への接客は、わたしが対応するしかありません。
「店に残ってんのは、あとは5番と2番の二人だけなんだから、ご自慢の可愛い笑顔で満足してもらいなよ」
(あと二人……わたしだけでメイドのホール業務をするのは大変ですが、もう二人だけなら……)
チーフさんの厳しい指導は、すこしつらいですが、今はとにかく、お客さまへの奉仕を果たさないといけません。
「わかりました。5番のお客さまですね。いってまいります!」
涙をぬぐったわたしは、いつもの掛け声を出して5番テーブルに向かうのでした。

第三話


日が暮れて、静けさを取り戻しつつある秋葉原の一角にあるメイドカフェ。
そのお店で、わたし――南ことりは今日もバイトのメイドさんのお仕事に励んでいます。
閉店前のラストオーダーを残っているお客さまからお伺いするのが、今のわたし――メイドさんのお仕事です。
ついさっき、メイドのお仕事の一環として行った、無料クーポンを提示されたお客さまへの接客で、<ちょっとした>できごとがありました。
マナー違反の行為をされてしまったわたしは女性にとっては大切なものを失ってしまいまったんです。
一生に一度の経験、大切な人との思い出にするつもりだったものをあっという間に失くしてしまいました……
あの眼鏡をかけたお客さまは、わたしの胎内に大量に出した後に笑顔で退店されてしまいました。
お客さまのご満足とは裏腹に、不安と恥ずかしさで少し泣いていたわたしですが、気持ちを切り替えてがんばります。
「ほら、ことりさん。5番テーブルまた催促して呼んでるわよ」
バイト・チーフさんが休憩室から、わたしを急かす声をあげています。
チーフさんは、控え室でタバコを吸って休憩中ですので、今は一人でホール業務の接客をこなさないといけません。
「わかりました。5番のお客さまですね。いってまいります!」

今はもう<閉店>の下げ札がエントランス・ドアにかかった後なので、カフェ店内にはお客さまは二名様しか残ってません。
そして、わたしが呼ばれた5番テーブルにお掛けのお客様は、肩まで髪を伸ばした男性の方ですが、少し神経質そうな感じです。
「いらっしゃいませ。本日はラストオーダーになります。いかが致しましょうか?」
5番テーブルにラストオーダーを伺いに出向いたわたしに、お客さまは少し変わったオーダーを出してきました。
「ねぇ、お料理の口移しサービスあるよね」
メイドカフェの一部では『あーん』とお客様にサービスするカフェもありますが、わたしの勤めているカフェでは確か……。
『メイド口移し給仕:無料』という品書きが、メニューに載っています。
わたしが知る限りでは、こんなサービスは以前には無かった気がしますが、記載があるかぎりはもちろんサービスする必要があります。
食べ残しのハンバーグを指差すお客さまに、わたしはメイドとして応えないといけません。
「あの……全部でしょうか?」
「もちろん残り全部。冷えてるからキミのお口で温めてよ」
ハンバーグをわたしが自分の口に入れて、舌の上で温めればいいみたいです。
お客さまがお残しのにられたハンバーグをよく見ると、なにか粉末のようなものが振りかけられていました。
「あの、お客さま。この粉みたいなものはなんですか?」
「気にしないでいい。オレが掛けた自家製ハーブだから」
少し気になりましたが、お客さまが食すものですし、店内でのマナーとしても問題はないものでした。

「それでは、温めさせてもらいますね」
お客さま食べ残しのハンバーグを自分の口に入れることには、もちろん抵抗がありました。
でも、お店で定めたサービスをご奉仕するのがメイドの役割ですからがんばります。
ハンバーグをお口に入れた途端、わたしは<ハーブ>の味に驚きました。
なにかヒリヒリと刺すような刺激があるのです。どのような薬効があるかはわかりませんが、とにかく効いているようでした。
「ほら、よーく咀嚼して、メイドさんの唾をタップリまぶしてよ」
ご要望通りに、わたしはモグモグとハンバーグを噛んで、柔らかくして細かく砕いてさしあげます。
やはりハーブの奇妙な味が気になりますが、それも噛んでいるうちになくなりました。
「もういいよ。あーんしてくれ」
「あ、あーんむぐぐ……」
クチュクチュと音を立てて、まるでむしゃぶり付くように、わたしの唇を吸うお客さま。
「へへへ。こりゃいい。人生最高の味だな」
お客さまはわたしのお口の中に舌をねじ込んで、歯茎や葉の裏まで舐めとるようにしてハンバーグを召し上がります。
冷めたハンバーグだけでなく、お水やケーキも全部わたしのお口からでないと食べられないとおっしゃるので、全て口移しでご奉仕しました。
お客さまは、なんども自分で咀嚼したあとでわたしの口の中に戻してくることもありました。
「もっと柔らかくしてよ。キミが唾をたくさん混ぜ込まないと駄目だよ」
お客さま自身の唾液と痰のようなものが混じったハンバーグが、わたしに口移し戻されます。
「ん、んぐぐ……」
(うぅタバコ臭い……でもお客さまのご要望に応えないと)
こうして冷め切っていたハンバーグは、何度もわたしの口と、お客さまの口の中を往復した後で、お客さまのお腹の中に消えていきます
ようやくハンバーグを完食すると、わたしの口移しで完食なされたお客さまは、満足していらっしゃいます。
「あー食った食った。メイドの唾液ソースつきハンバーグで、もう満腹だな」
たった半分ほどのハンバーグ一つを完食するのに、いったい何度口移しで往復したかわかりませんが、お客さまに満足して頂ければそれでわたしは……
「い、以上でよろしいでしょうか?」
ラストオーダー後も一応は確認するのが決まりです。ところが、5番テーブルの人は追加の注文を出してきました。

「あ、まだビールが残ってるか」
テーブルの上には、まだ泡立っているビールが入ったジョッキがありました。
「今度はオレからの<気持ち>受け取ってよ」
お客さまはそうおっしゃって、ジョッキの中身をお飲みになると、わたしの唇を奪いました。
「んぐぐ……」
半ば強引にキスされたまま、お客さまは自分の口からビールをわたしの口の中に注ぎ込んできます。
(やだ、ビールが……)
口移しでの給仕や、客に口移しでお客さまからお食事を分けて頂くことは未成年のわたしがビールを飲むのは許されていません。
でも唇を塞がれて後頭部を両手で押さえられているわたしに抵抗は無理でした。

「んむむ……んぅっんんっ!!」
お客さまに対して、わたしは必死に意思表示をしてみましたが、無視されているのか、気づいてないのか飲酒強制は止まりません。
そんな時、わたしの視界の中にレジ付近でホールの様子を見ているバイトチーフさんの姿が入りました。
なんとか目線と手を振ってて助けを求めたわたしですが、チーフさんはチラリと見ただけで、何も動いてくれません。
わたしとお客さまの間での<口移し>での給仕と勘違いしているのか、チーフは特に飲酒マナーの注意をする気もないようです。

口内にあったビールを全て飲まされたわたしは、息継ぎするのがようやくでした。
「ぷはぁ~」「げほっ……はぁはぁ」
その隙に、こんどはテーブルの上にあったワインをお口に含んだお客さまが、再び唇を合わせてきます。
「はぁはぁ、お客さま。こまります、やめ……んぐぐ」
口から口へと流し込まれるワインは、すべてわたしの胃の中に消えていきます。
この<逆口移し>でのイッキ飲みは、一度だけではありませんでした。
交互にビールとワインを飲まされ続けたわたしが解放されたときには、ジョッキとワインデカンタが空っぽになっていました。
「うぅぅ……お客さまぁ。だめですぅ」
わたしの口からこぼれたビール、ワイン、そしてお客さまのよだれで、メイド服の白いエプロンは赤ワインの色に染まってしまいました。
でも、それ以上に困ったのは、初めて飲んだお酒のせいか、視界がぐるぐると回っていることでした。
「あれ?なんかフラフラする」
「へへへ。効いてきたか?さっきのハンバーグに掛けてたオレの特製ハーブ。あれ俗にいう危険ドラッグなんだけどさ」
「きけんどらっぐ……ですかぁ?」
そう言えば、さっき口移しさせて頂いたハンバーグに掛かっていたハーブ……変な味でした。
急にめまいを感じたわたしは、床に座り込んでしまいました。
「あのハーブってさ、唾液で分解して吸収されるんだよ。薬剤耐性がないコには即効でキマるわけ。あと酒も回ってるだろ?」
(お酒のせいだけじゃないんだ……)
ヨロヨロと立ち上がったわたしは、マナー違反と体調不良をチーフさんに訴えに行こうとしました。
ですが、ふわふわふらふらして、どうしても床にへたり込んだまま立つことができません。

「ラストオーダーだけどさ。オレもあんたにハメたいんだけど。もちろん生で」
「うぅぅ……メ、メニューにない品やサービスはお断りさせて……おりますぅ」
ろれつが回らないのですが、なんとかお断りをしたわたしですが、お客さまはさらに強く求めてきます。
「さっきそこに居た眼鏡の客とヤってたじゃんか!オレには出来ねーのか?」
「あのぅあれは、素股のクーポンで……わたしのアソコを」
これ以上、挿れられるのはもう嫌です……それに仮に挿れるとしても、コンドームの着用が決まりなのですが……
わたしはフラフラしながらも、必死に説明をしてみましたが、こういったお客さまのクレームが苦手なわたしは、どんどん追いつめられていきます。
「アイツはヤれて、オレはヤれねーってのか?おかしいだろうが!!責任者呼べよ」
心なしか、お客さまがニヤリと笑っているような気もしますが、わたしには何も出来ません。
(どうしよう……とうしたらいいんだろう)

わたしが困り果ていたそんなとき、店の奥のレジから出てきたチーフさんの姿が見えました。
ほっと胸をなでおろしたわたしは、心のなかでチーフさんに感謝をしていました。
「どうなされました?」
落ち着いて、笑顔を浮かべるチーフさんの対応は、経験の浅いわたしには到底出来ないものです。
「この<ことり>とかいうメイドが、オレとは生ハメできねーって言ってるんだよ」
「そうですか。ですがお客さま。もうラストオーダーですし、ご挿入はコンドーム着用が決まりとなっております」
「かんけーねーだろ。生ハメと中出しをしてーんだよ」
フラフラで床にへたり込んでいるわたしのために、チーフさんは助け舟を出してくれました。
「ではお客さま。他のお客さまもいらっしゃるので、こちらでお話しいたしましょう」
チーフさんはご立腹の5番テーブルお客さまとわたしを、更衣室兼、休憩室の別室に案内してくれました。
さすがチーフさん、ここなら落ち着いてお話しできそうです。
クレーム処理に慣れているチーフさんに任せておけばだいじょうぶ……次のチーフの言葉を聞くまで、わたしはそう思っていました。

「お客さま。店内では決められたサービスしかできません。ですがここは別です。プライベート・スペースですので」
「えっ?」
思わず声が出たわたしをチーフさんが刺すような目で見据えてきました。
「プライベート空間での自由恋愛や個別交渉には当店は関わっておりません」
そう言いながら、チーフさんは何かを要求するような手つきをお客さまに示しています。
「なるほどソープランドの理論か?この部屋なら生挿入も中出しもOKって解釈でいいな?」
お客さまはチーフさんに何枚かお札を渡しています。チップでしょうか?
確かに『店内はメニュー業務のみ』となれば、『店外なら自由』というのはその通りなのですが……。
でも、心の底では何か違和感と不安感、そして理不尽さをわたしは覚えていました。
チップを受け取ったチーフさんは、わたしとお客さまを置いて休憩室を出ていこうとしています。
「それではホールを引き継がねばなりませんので、失礼します」

「チーフさん。お酒とハーブを無理やり……たすけ……」
チーフさんに助けてもらいたい一心で、呼び止めようとしたわたしは次の瞬間に凍りつきました。
「あなたって、通りすがりの客に処女を捧げるようなビッチなんじゃないの?」
「ち、ちがうんです……あれは、うぅ…」
次第にハーブとアルコールで意識を保つのが難しくなってきたわたしは、もう言葉を紡ぐことが難しくなってきました。
わたしの懇願を無視するかのように、チーフさんは休憩室を出てホールに戻って行きました。
「ではプライベートタイムをおくつろぎください」
休憩室に残されたわたしはお客さまと二人だけにされてしまいました。
「とにかく介抱してあげるよ。さぁ横になって」
お酒とハーブでふわふわ・ふらふら状態のわたしは、もう座っているのも限界です。
休憩室の3人掛けソファーに誘導されて、横になって今はお客さまの介抱を受けるしかありません。
お客さまの手でメイド服のエプロンとネックリボンを緩めていただき、すこし楽になりました。

「まずマッサージだね。胸をはだけるよ」
「あ、あのお客さま。メイド服を脱ぐのは禁止されていて……」
わたしの返事を聞く前に、お客さまの手でブラウスのボタンが全て外され、ブラジャーも取られてしまいました。
「うぉ。ピンクの乳首。こっちの方は新品同様だな」
マッサージと称して、お客さまはわたしのおっぱいを激しく揉み始めました。
「お客さま……い、いけません。わたしそんな……ひぃっ!!」
「めんどくせーな。コークのおかわりいっとくか?」
コーラ?いまは要らない……目がまわってふらふらするの……
気が付くと、わたしの鼻の穴に粉のようなものが入れられていました。
息をすると鼻から粉末が吸い込まれて……。
「大丈夫だよ。習慣性は低いから。効きも生分解も早いデザインにしてあるし」
お客さまの声も、もうはっきりとはわかりません。
「それに混ぜモノの副作用で前向性健忘効果もあるから、ぜーんぶ忘れちゃうしな」
(なぁにそれ?ぜんこーせーけんぼー?もうねむい……きもちいい……)
「じゃあ、メイド生マンコいただきまーす」
わたしのおっぱいにむしゃぶりつくお客さまの笑顔が、わたしが夢の世界へはいる直前の記憶になりました。
(おやすみなさい……)
  :
  :
  :
「ほら、いつまで寝てんのよ」
チーフさんの声が聞こえます……あれ?わたしバイトの途中で寝ちゃった?
「チッ。あのロン毛キモヲタ、たった1万ポッキリのチップで、オンナをこんなに食い散らかしてさ」
そうでした……わたしは5番テーブルの髪を伸ばしたお客さまの接客で、<口移し>の給仕をご奉仕させて頂いて……あれ?
なにか記憶があやふやです。それに頭痛と身体の節々にヒリヒリと痛みを感じます。
「んうぅ……チーフさん?」
「ふざけんなよな。後始末を考えろっての」
チーフさんは少し機嫌が悪そうです。
ようやく声を絞り出して、ソファーから身体を起こしたわたしは、更衣室・兼・休憩室の様子をみて驚きました。
わたしが着用していたメイド服のエプロンやブラウス、フリルスカート、パニエ……すべてが床に乱雑に放置されています。
「えっ?裸に?」
わたしは全裸でソファーの上で寝ていたようです。
「ご、ごめんなさい。わたし……」
そう言いかけて、わたしは下腹部に違和感を感じました。
わたしのアソコ……ちょうど臍下から恥丘をとおり、会陰のあたりにかけてまでガムテープのようなものが貼られています。
テープには手書きの文字が油性ペンで書かれているようです。
「何よそれ。<子種封入済み>って」
わたしの下腹部に張り付けられたテープの文字をチーフさんが読み上げてくれました。
「あのロン毛、やっぱ中に出していったんだ~。まぁ、プライベートには干渉しないけどさ」
記憶があやふやなのですが、たしかハーブがどうとか、脱法ドラッグとかコークとか、お客さまがおっしゃってた気がします。
「あんた覚えてないんだ……。どうせ、クスリでもキメてたんでしょ?」
何かクスリを飲まされた……それは覚えています。
でも<口移し>はメイドの給仕業務のひとつなので、お客さまのマナーを問うわけにもいきません。
問題は、その後の記憶が一切ないことでした。

「これって、あなたのスマホじゃない?」
チーフさんの手に握られていたのは、確かにわたしのものです。
「なにか動画が撮られてるよ」
チーフさんが画面をタッチすると、スピーカーから音声が流れ始めました。
『ねぇねぇ。ことりちゃん気持ちいい?』
この声は、あの髪の長いお客さまです。でも、クレームをつけていた時とは打って変わって心地よさそうな声を出しています。
『んっんっ!いっ!いいっっ!』
スピーカー再生された少女の切ない声ーーそれは紛れもなくわたしのものです。
クチュクチュといういやらしい音もはっきりと聞こえます。
『スイッチ入ったね。人生初のキメセクはどう?』
『わかんないっ!んっんっ!もっともっとぉっ!』
スマホの画面を見せられたとき、わたしはめまいを覚えました。
ソファーの上で恋人同士のように抱き合う二人はわたしとお客さまでした。
「わたしが?こんなの……」
「うわーかなり激しくやっちゃったねー。結局ナマで入れられちゃってるし」
チーフさんが呆れたような声が、わたしに向けられているのは確かです。
『もうイクよ。いいよね?中でいいよね?』
「ていうか、聞く前からコイツ速攻で中に出してんじゃん。超早漏笑える」
確かにその通りでした。お客さまはうわごとをくりかえしているわたしの返事を聞くよりも先に、射精の動作をしています。
「あーあ。どんだけ出してんだよ……ていうか、コイツのでかっ!巨根すぎ。こんなの無理」
驚いているのはチーフさんだけではありません。わたしも思わず口を抑えて絶句してしまいました。
画面にアップになったお客さまのアソコは、まるでペットボトルぐらいの大きさがありました。
ピクピクと蠢くお客さまのアソコが血まみれになっているのは、その大きさのせいだとおもいます。
『やっぱちょっと裂けちゃったか。ごめんねメイドさん。でもいいよねメイドさんもキマってるみたいだし』
お客さまがスマホを操作したのか、画面には大写しになったわたしのアソコが……。
そこには、会陰から大量に出血してるわたしの大事なところがHD画質で録画されていました。
「血まみれだし。こんだけデカいとキメセクでないと無理ってわけか。巨根ヲタも苦労するんだね~」
キメセク。血。中出し……衝撃的な言葉ばかりが耳に入ってきます。
でも、お客さまとわたしは同意の上で私的にエッチをしたことになっています。
たしかにそうかもしれませんが、わたしはメイドのお仕事をしてただけなのに……。

でも、スマホに録画されていた動画はこれで終わりではありませんでした。
『ことりのクリちゃんかわいいねー』
「うわ、このロン毛何する気だよ」
ちいさなメスのような器具がお客さまの手に握られているのが画面に表示されています。
『クリちゃん。こんにちはー』
『クリ皮ちゃん。さようならー』
あっという間でした。わたしのアソコ……クリトリスの包皮が切除され、剥き出しになったピンク色の陰核が動画に撮られていました。
「あの巨根ロン毛、えげつないことするね。でもすごく手際いいし、もしかして医療関係者?」
チーフさんは感心したような声をあげています。
「えっ!?うそ?」
わたしの下腹部に感じられるチクチク刺すような痛み、それにクリトリスから会陰にかけてガムテープが貼られて隠されている意味。
それが、この動画に記録されていたとおりなら……

『漏れないようにテープで塞いどくか。オレのこと一生忘れないでね』
白くて粘つく液体が溢れそうになっているわたしのアソコは、ガムテープで塞がれました。
まるで絆創膏でも貼るような感じで、包皮を切除されたクリトリスもガムテープの下に……。
チーフさんは動画の再生を一時停止して、わたしに貼られたガムテープと画面を見比べています。
「とにかく、ソレ剥がすわよ」
わたしの身体を心配しているのか、興味本位かはわかりません。
でも、動画のトリックや、編集されていることだって……
「ビリっといくわよ」
チーフさんがわたしの臍の下から<子種封入済み>と書かれたガムテープを剥がしていきます。
「ひっ!ひぃっ!!」
強引にテープを剥がしたせいか、何本もの恥毛が粘着テープに巻き込まれて抜けてしまいました。
「あんた毛深くないんだからガマンしなよ」
テープを剥がし終えた途端に、割れ目から白い粘液が大量に溢れだしました。
「うわー。あのロン毛の野郎、何発出してんだよ。また血も出てるし」
鼻をつまんだチーフさんが、顔をしかめています。
「ていうか、またなんか書いてあるけど」
そう言って指を差された先は、わたしの恥丘のあたりでした。
「えっ?『生クリ♡むいちゃいました↓』これって……」
思わず読み上げてしまった手書き文字――油性ペンで書かれた矢印の先は、クリトリスのあたりを指しています。
「うわー。やっぱガチで切り取ったんだ。生意気にピンクのクリだけど、もうズルむけじゃん」
あの動画は本物でした……そして下腹部に感じた違和感の正体は、露茎したクリトリスからの刺激だったのです。
わたしのクリトリスを包んでいた皮が無くなっています。

「処女喪失した日にクリ皮まで失くしちゃったか。まぁ、あの巨根がズボズボ入るようなビッチにはちょうどいいでしょ」
チーフさんは呆れたような表情で、わたしを見下ろしています。
「ズルむけ、ビッチ……ちがう……ちがうんです。わたしはお仕事を、メイドのご奉仕で……」
口移しという<お仕事>でドラッグを舐めてしまって、前後不覚になったのは確かにわたしの不始末かもしれません。
でも……でも、こんなのって。
「ちょっと整形手術で治すのは難しそうね。それに私なら、こんな剥けクリなんてお医者さんに診せられないわ」
丸見えになったわたしのクリトリスを指差すチーフさんが、まるで卑しいものを蔑むような目をしていました。
「とにかくさ~お客さまのクレーム処理で、このザマなんだからさ。自業自得だよ」
お仕事だから仕方ない、お客さまへのクレーム対応だから仕方ない……
そう思って自分に言い聞かせてみても、どうしても大粒の涙が溢れてきます。
「まぁ、録画データを残していったってことは、流出させる気はないっていうアイツなりの思いやりだよねきっと」
動画が記録されたわたしのスマホを手渡してくれたチーフさんは、憐れみとも優しさともとれる目でわたしを見つめています。
わたしがスマホを受け取ったときに、なにかの拍子で動画の続きが再生されました。
『あ、そうだ。お友達の園田海未ちゃん、超オレのタイプだからさ今から会いに行くよ』
あのお客さまの声がスピーカーから再生されます。
『ことりちゃんの今日の出来事について相談に乗ってもらうね。じゃあサヨナラ』
どうして、海未ちゃんのことを知ってるの?もしかしてわたしの携帯を使って会う約束を?
それに、。わたしのことで相談って……。
海未ちゃんが気になりますが、仕事中は私用で携帯電話を使うことは禁じられています。

「ちょっと。いつまで汁を垂らして座ってんのよ」
休憩室に響くチーフさんの声でわたしは我に返りました。
「あんたが休憩室でハメ撮りしてる間も、最後の客が首を長くして待ってるよ」
「あっ……そ、そうでした」
すっかりわたしは担当のお客さまが、まだ残っていらっしゃることを忘れてました。

「ガバマンからヲタ汁が漏れるんならすぐにそのガムテープ貼り直してメイド服着てホールに戻ってよ」
チーフさんの叱責は、もっともなことです。すぐにお仕事に戻らないといけません。
それにこのまま白濁液を垂らして状態で接客するのも失礼です。
わたしは<子種封入済み>と油性ペンで記されたガムテープを貼り直します。
「んっ……く」
クリトリスに直接伝わる刺激と、会陰の裂傷が痛いのですが、今はこれで我慢するしかありませんでした。
「あらあら、パニエもドロワーズもヲタ汁まみれじゃない。とりあえず下はスカートだけで接客して」
お客さまが何かを拭きとったのか、パニエとドロワーズは血と粘液で汚れて悪臭を放っています。
私物のブラジャーは無くなっていました……。
仕方なくわたしはスカートとブラウス、エプロン、ネックリボンの制服だけ着用します。
「こんなにメイド服と休憩室を汚しちゃってさ……あとで始末書を出してもらうわよ」
バイトを管理しているチーフさんの言葉に対しては、わたしは頭を下げる以外にはありません。
本当にわたしは自分のドジな失敗を反省するばかりです。
とにかく、いまは頑張らないと。
「あっ……んんっ」
立ち上がったわたしに、下腹部の違和感が襲ってきます。
特に包皮を失くしてしまって直接こすれてしまうクリトリスの刺激――痛みと快感がわたしを苦しめます。
まだ何か異物が入っているような感覚は、きっとあのお客さまの大きい性器を挿れられてしまったからだと思います。
つい、さっきまでタンポンも挿れたことのなかったわたしのアソコには、あのお客さまのは大きすぎました。

「とにかく2番テーブルのお客さまが待ってるから」
「は、はい」
「今日は色々あったけど、もうひと頑張りしましょ」
失敗したりフォローしてもらってばかりのわたしに、チーフさんが優しい声で励ましをくださいます。

わたしはこのお仕事――メイドさんのバイトが大好きでした。
かわいいお洋服と、素敵なカフェ、やさしいチーフさんや礼儀正しいお客さまとの触れ合い。
ぜんぶ大好きでした。
いまでもやり甲斐を感じています。
でも、わたしはこのお仕事で、なにか大事な物を……とても大切なものを全部失ってしまった気がします。
お客さまはあと一人。わたしがんばります。
枯れ果てたと思っていた涙を拭って、わたしはいつもどおり声を上げるのでした。
「いってまいります」

ホールに戻ったわたしは、一度店外に出られていたオーナーのアケミさんの姿を見つけました。
一番奥のテーブルに座っているのは、アケミさんと……希ちゃんでした。
(あっ……希ちゃん、さっきの男の人とバイトするって言ってたけど、もう終わったのかな?)
でも、少し希ちゃんの様子が変です。
「うぅぅ……アケミさん。あの、お客さんがウチの……ウチのことを」
いつもほんわか明るい癒し系の希ちゃんが、瞳に涙を浮かべてベソをかいています。
「延長料金は貰ったわよね?」
「2万円受け取ったけど……」
ふたりの会話が聞こえてきます。
「あの人……最初はお部屋で休憩するだけって言うてたけど、ウチを縛って、目隠しして、口も下着詰めこまれて」
「中に出されちゃった?まぁ、タマにはそういうお客さんもいるわよ」
「せやけど、ウチのこと……タクヤさんに嫌われへんやろうか」
「大丈夫よ。タクヤお兄ちゃんの気持ちは希ちゃんが一番知ってるでしょ?」
慰めの言葉をかけるアケミさんは、希ちゃんの肩を抱いています。
「ほら、コレを飲んで緊急避妊のおクスリよ。あなたは赤ちゃんの心配はしなくていいわ」
アケミさんは錠剤のようなものを希ちゃんに手渡しています。
でも、そのカプセルの外装箱には<マルチビタミン>と書いてある気がするのですが……
希ちゃんは、コクリと頷いて錠剤を服用しています。
お薬を飲むことで気持ちが収まったのか、希ちゃんは少し落ち着いたようです。
「ありがとうございます。アケミさん。それで、ウチこのあとの予定は……」
「希ちゃんの次のお仕事は、このお店の中でイメージビデオの撮影よ」
「えっ?そうなん」
「撮影スタッフと共演の男優さんもすぐに来るわ。すぐに水着に着替えてくれる?」
希ちゃんに渡している白いビキニは、スタイルのいい希ちゃんが着るには、とても小さいサイズでびっくりしました。
それに、このメイドカフェで水着ロケなんでしょうか?
アケミさんがお店のオーナーだから大丈夫だろうけど……
お二人の会話は続いています。すこし希ちゃんが心配ですが、わたしは仕事に戻らないといけません。

最後のお客さまの2番テーブルの男性は、革ジャンに革パンツというパンク系のお洋服を召しています。
トゲトゲのアクセサリやコワモテな雰囲気に、わたしは緊張してしまいました。
「お、おまたせいたしました。ラストオーダーうけたまわります」
「ん?ああ、大丈夫だよ。ミートボールパスタを頼むよ」
大変おまたせしたので、怒られると思っていたわたしは、やさしい言葉にほっとしました。
(人は見かけで判断しちゃダメよね)
ピアスやリングなどをびっしりと付けて、タトゥーなどがお肌を埋め尽くしているお客さまは近寄りがたい雰囲気です。
でも、ニッコリとメイドのわたしに微笑む姿はごく普通の男の人に見えます。
「承知しました。すぐにお持ちいたします」

キッチンにオーダーを伝えると、すぐにお料理は出来上がりました。
「お客さま。ミートボールパスタになります。ごゆっくり……」
「あぁ、コレさ<お持ち帰り>で頼むよ」
お客さまにテイクアウトでご提供することはよくあります。
「承知しました。お待ち下さいませ」
わたしはお皿を下げて、一旦キッチンに戻ってチーフさんに伝えました。
すると、チーフさんが珍しく困惑した表情を浮かべています。
「困ったわね。いまテイクアウト保温容器を切らしてるのよ……そうだ、アナタも一緒に来てくれる?」
温かいお皿を持ったまま、わたしはチーフさんと一緒に2番テーブルに伺います。

「お客さま。あいにく保温容器を切らしておりまして……こちらのメイドでよろしければお詰めしますが?」
そう言って、チーフさんは私のお腹を指差しています。
(えっ?わたしが?)
一瞬おどろいたのですが、言われてみればメイドの業務にお客さまへの<お持ち帰り>があったのを思い出しました。
「そうか、ソレでいいよ」
「どの穴に致しましょうか?」
「さっきこのメイドって客に生ハメされてたよな。口移しでもジュルジュルやってたし」
上から下までわたしの身体を見回すパンク風のお客さま。
「やっぱ直腸にするか。ていうかオレがヤるのはケツマンコ専門だし」
そうお客さまが決めたあとは、粛々とメイドの<お持ち帰り>の準備をするだけでした。
わたしはチーフさんに手伝っていただくことになりました。
「ほら、言われたでしょ?スカートまくってお尻を持ち上げて」
「は、はい」
言われたとおりに、わたしは自分のフリルスカートをめくり上げます。
お客さまの視線が下着を履いてないアソコに集中するのがわかります。
「うわ。ガムテ貼られてんのか。それに子種封入済みってなんだよ。結局あのロン毛も中出ししたのかよ」
呆れたような声をあげるお客さまに、わたしは申し訳ない気がしました。
「す、すみません。わたし、あの……」
「あぁ、いいよいいよ。子宮とマンコはオレの管轄外だから。ケツが新品ならソレでいい」
優しい言葉を掛けて下さるお客さまに、わたしは感謝しました。

メイドのお仕事を始めてから、わたしは<お持ち帰り>されるのは初めての経験です。
慣れないわたしにチーフさんがご指導してくださいます。
「いい、少し熱いわよ。まずミートボール押しこむから」
「ひっ!あっ!」
できたてのミートボールが高く突き上げたお尻の穴に触れると、わたしは悲鳴をあげてしまいます。
でも、我慢出来ないほどではありません。
むしろ熱さより肛門にグイグイと肉団子を詰めこまれる感覚がわたしを戸惑わせます。
(き、気持ち悪い……でも、なんだか不思議な感じ。あったかくて柔らかくて……)
「パスタも全部詰め込むから、力を抜いて。ことりさん」
「は、はぃ……んんっ!んっ!んっ……ひぃっ!!」
チーフさんの言うとおりに、力を抜こうとします。
でも、長くて温かい麺をお尻の穴にねじ込まれる感覚に声が出てしまいます。
「ハハハ。このメイド。新品ケツマンコなクセに、なかなかいい<喰いっぷり>だな」
お客さまが、わたしのお尻を指差して褒めてくださいます。
「最後に大きめのミートボールで栓をするから。お客さまに言われるまで出しちゃダメよ」
「わ、わかりました。がんばりま……んひぃっ」
チーフさんが特大サイズのミートボールをお尻の穴に入れてくれました。
とてもキツくて、お尻の穴が張り裂けそうな感じがします。
まるで排泄直前の息んでいるような感じが辛いのですが、この大きさなら我慢できるかもしれません。
最後にナプキンでお知りの周りのミートソースを清拭すると、<お持ち帰り>の準備がおわりました。
「あ、ありがとうございます。チーフさん」
「じゃあ、行くか。ついて来いよ」
席を立って出口に向かうお客さまの一歩後ろをわたしもついていきます。

でも、このまま<お持ち帰り>されたらママに心配されるかもしれません。
ちょうどオーナーさんがレジの近にいらっしゃったので、電話連絡をしていいか聞いてみました。
「オーナーさん。あの……<お持ち帰り>について、一本だけママに電話を入れていいですか?」
「えぇ。もちろんいいわ。でも、ことりママさんは、いま商談中だと思うけど」
オーナーさんは快諾してくれました。でも終電間際の深夜だというのに、ママは誰と商談してるんだろう。
「音ノ木坂学院の運営に融資が必要らしいわね。だから私の金融業の<お兄ちゃんたち>をご紹介したのよ」
「え?」
初耳でした。オーナーさんとママがそんな相談してたなんて。
「心配ないわ。とても気さくな<お兄ちゃんたち>だから。気前よくお金を貸してくれるはずよ」
また<お兄ちゃん>がアケミさんの口から出てきたけど、そう言うご家族なのかな。
「ママさんには<ディスオーダー>を施してあるから、何にでも助けを求めて、見返りを差し出すはずね」
「でぃすおーだー?えっと……あ、そうだ電話しないと」
アケミさんの言葉の意味はわからないけど、とにかく連絡しないと。
わたしはママの携帯に電話をかけて、ママが出るのを待ちました。

『もしもし?ことり?』
「あっママ……あのね、バイトのシフトが変更になって……今日は帰れないの」
怒られると思っていたわたしは、ママの電話の返答を聞いて驚きました。
『ち……ちょうど良かったわ』
「え?ママどうしたの?」
なにか切羽詰まったようなママの声に、わたしは不安を覚えました。
『こ、今夜はお家に特別なお客さまが見えられて、お家の中でパーティーなの。だから……ひっひぃっ!!』
こんなにママのうわずった声を聞いたのは初めてでした。
電話の向こうからは、ママとは違う人の気配も感じます。
『おい、権利書と登記簿はコレか?』
『オメェ、ウチの組から融資を受けるんつもりなんだろ?もっと真面目に接待せいや』
『理事長さんよ、オメェのケツマンコ緩いぞ。気合入れて締めんかい。連帯保証人もココに呼ぶか?』
何人かの男の人の怒鳴るような声と、肌をピシャピシャと叩くような音も聞こえます。
『む、娘には……ひっひぃぃっ』
『このママ理事長。なかなかイイ身体に超美女じゃねぇか。いい値がつくぜ』
この低い声は、アケミさんが言っていた<商談>のお相手でしょうか?
「ママ!?誰かそこにいるの?」
『ことり……バイトがおわったら電話してね……じゃあ。ひぃっ!!』
断末魔の悲鳴を残して、ママの方から電話は切られてしまいました。

「ね?言ったでしょ。だから今夜は<お持ち帰りOK>だから」
アケミさんはニッコリと微笑んでいます。
音ノ木坂学院の理事長のママが、廃校問題で悩んでいたのは、わたしも知ってるけど……。
ママがお家で接待とか、連帯保証人とかちょっと今までに無かったし、漏れてきた男の人の怒声がわたしを不安にさせました。
でも、アケミさんが紹介した人なら大丈夫だと思う……そうだよね。

「オラ、いくぞ。ガッツリ食ってやっから」
わたしの<お持ち帰り>をご要望してくださった革ジャンのお客さまが、すこしイライラしてらっしゃいます。
「お、おまたせしました。お持ち帰りの準備ができました。よ、よろしくおねがいします」
ペコリと私が頭を下げると、お客さまがオーナーに何かを交渉していらっしゃいます。
「……をしてもいいよな?こんだけ待たされてんだからよ」
「えぇ、構いませんよ。でもメイドに取り付ける場合は、アクセサリーの材質とホール空けはご注意してください」
「心配ねぇよ。ちゃんとチタンだし、オレの女にガッツリ圧着モノつけた経験あっから。クリとかアワビとかチチとかによ」
よくわからないことをお話ししていますが、お客さまは自分の耳や鼻、舌の先にあるピアスを指して説明しています。
「へへへ。ちょっとオシャレな肉容器メイドにしてやっからな」
「えっと……ど、どうかよろしくおねがいします」
お客さまの言う<オシャレな肉容器>の意味がちょっと気になりますが、今はメイドのバイトとして<お持ち帰り>サービスを頑張るしかないです。

革ジャンと革パンツに付けたチェーンをジャラジャラ鳴らしてお客さまがカフェのエントランスをお通りになりました。
「おう、もうヤリ部屋は用意してあっから。さっさと行こうぜ」
「は、はい」
わたし、お客さまの部屋までお持ち帰りされるみたいです。
「おい、漏れてねぇか?」
店を出る直前にお客さまに言われて気づいたのですが、お尻の穴に押し込んだパスタのミートソースが太腿を伝って流れ落ちていました。
「あっ……す、すみません。んんぅ……」
わたしはあわててお尻に力を入れて、ミートソースが漏れるのを防ごうとしますが、最後に詰められた特大のミートボールが邪魔をして力が入りません。
そんな様子を見かねたのか、チーフさんが助け舟を出してくれました。
「お客さま。これをご利用になられますか?」
このカフェではエントランスの所に、おみやげ用にクッキーや可愛い英国風の食器などを販売するコーナーがあります。
でも、今日はその<おみやげコーナー>に見慣れないモノが並んでいました。
奇妙なゴム製の器具やピンク色の玩具みたいなもの、全部見たこともないような不思議な形をしています。
「お、スティミュレーターあるじゃん」
お客さまの目に留まったのは、『スティミュレーター(アナルバルーン)特大サイズ・三段構造』というおみやげでした。
「さすがメイド長だな気が利くね。ヤリ部屋まで結構な距離を歩くからな。使ってみるか」
チーフさんがケースから取り出したのは、黒いゴム製の器具で、先端に大きな風船のようなものが付いています。
「ことりさん。<おみやげ>も挿れますよ」
どうやらわたしのお尻の穴に挿れて、お持ち帰りになるようですが……。
「あ、あの。もう入らないかもしれま……ひっ!ひぃっ!!」
しぼんだ風船がお尻に挿れられ、グイグイと詰めこまれます。
わたしがこの器具の本当の使い方を知ったのは、その挿れ終わったあとでした。
「ハンドポンプ使うわよ」
チーフさんがその声と同時に、ゴムボールのようなポンプを握る動作を始めます。
「あっ!あっあっ……んぐぐ……」
お尻の中の風船が膨らみ始め、あっという間にお腹の中がパンパンになっていきます。
「直腸内で三段バルーンが膨らむヤツだよな。コレって新人メイドにはつらいんじゃねーの?」
お客さまはわたしに優しい言葉を掛けて下さいますが、そのお顔は満面の笑みでした。
「く、くるしい……も、もうはいりま……んひぃっ」
お尻の方からミチミチという何かが軋むような音が聞こえる程バルーンがふくらんだ所で、やっとチーフさんの手が止まりました。
「うぅぅ……」
お尻とお腹が苦しくて、どうしても声が出てしまいます。
<お持ち帰り>がこんなに大変なお仕事だったなんて……
「コレって挿したまま浣腸液注入できるタイプのプラグだよな?ついでにグリセリンも1000ccぐらい入れといてよ」

お客さまのご要望を聞いた後の、その先はあまり良く覚えてません。
わたしが聞いたことのない『ぐりせりん』という透明な液体は、なにかのお薬のようでした。
冷たい液体が、わたしのお尻の中に挿れられた風船の器具から注がれて、お腹の中がさらに苦しくなりました。
1000cc注入したところで、お客さまは『おかわり』をご要望になり、結局3000ccぐらい注入されたみたいです。
わたしは辛くて目を閉じてブルブル震えて我慢することしかできませんでした。

「お客さま。暫くは漏れないはずですが、アナル栓が抜けないように、お持ち帰りの際はご注意ください」
「あぁ、街中でブチ撒けられると後始末が大変だからな……」
お腹に中に入っているミートボールパスタと『ぐりせりん』……本当にこの<お持ち帰り>はメイドのお仕事なのでしょうか?
「でも、もたねぇかもな。まぁ、そんときゃ人前だろうがなんだろうがヒリ出すしかねぇな」
お客さまの心配を裏付けるように、なにか刺すような痛みがお腹の中から感じられます……
早くお客さまのお部屋まで運んだほうがよさそうです。

「おまたせしました。お客さま……お、お持ち帰りの準備ができました」
ようやく絞り出したわたしの声と同時に、背後からはオーナーのアケミさんとチーフさんの見送りの声がきこえます。
「ご利用ありがとうございました」
長くて辛かった今日のお仕事はこれでおわりになりそうです。
いつもどおり、わたしは<お見送り>いえ、今夜は<お持ち帰り>のために、お店のドアを開いてお客さまを外にお通しします。
「お客さま。こちらになります」
こうして、わたしが自ら開いたドアの向こうには、街を包みこむ深い闇夜が広がっていました。
いつにも増して、昏く深い夜でした。