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例えば美少女催眠術師がいじめっ子を撃退する話 - 2chMCスレッド

例えば美少女催眠術師がいじめっ子を撃退する話

「アンタさ。調子に乗ってない?」
 石器時代から届けられたような恫喝にわたしは戦慄した。実在していたんだ……『チョーシ乗ってんの?』神拳の使い手が。平成も終わりそうな現代に。
「答えろよ」
 可愛い顔からは想像もつかないドスの効いた声だった。怖い。シークタイムゼロだった気がするけれど、彼女は机を蹴り飛ばし、わたしを竦み上がらせて突っ込みを封じにきた。
「なあ。なあ。なあ、おい。聞いてんのか、おい。おい」
 凄まじい迫力だった。心臓が恐怖で締め付けられて息苦しい。
 神田麻紀は何度も机を蹴り、大きな音を立てて威嚇してきた。悔しいけれど、それはわたしにとても良く効いている。やめてくれ。身体がガチガチと震える。涙が滲んできた。
 逃げようにも脚が動いてくれないし、神田麻紀は当然のように二人も取り巻きを引き連れてわたしを包囲している。何なの。ライオンなのお前ら。わたしのような野ウサギにスリーマンセルとか本気出さないでよ。
「なあ。お前。笹川から告られたのに振ったらしいんじゃん。なに。舐めてんの、お前」
 それは事実だ。わたしは確かに今日の昼休みに笹川君から告白された。お断りした。
 なぜそれで神田麻紀がわたしを包囲しているのか。これが理解できない。
「……べつに……舐めてなんか……」
 わたしは精一杯の勇気で答えようとした。
「は? 言い訳すんな。黙れよ」
 神田麻紀は受け取りを拒否した。
 何なのこの子。問答無用すぎない?
「笹川なんかいりませんってか。あたしとは釣り合いませんってか。なあ。なあおい。可愛いからってよ。調子乗ってんだろ。おい。舐めてんだろ。なあ」
 神田麻紀がわたしの襟首をつかんできた。顔が近い。怖い。『なあ』が怖い。何回言うの。その『なあ』って。言い続けないとダメなの? 一定回数下回ると列車が爆発するの?
 謝ってすませる。
 それしかない。言い分がとにかく理解できないけど、もう謝って許してもらうしかない。
「もう謝って済む問題じゃねぇぞ?」
 エスパーかよお前。
「とりあえず、お金でしょ?」
 後ろから声が聞こえた。その声は……ええと……どっちだろ……取り巻きB!
「だね。寄越せよ、財布。メーワク料ってことで」
 消去法でAの座を得た取り巻きの声が後に続いた。迷惑料。ホワイ。この状況に迷惑してるわたしこそが貰う側では。
 え。ちょっと。本当に待って。これ。いじめというヤツじゃないの。
「……そんな、ぐ」
 拳がみぞおちに刺さった。痛い。痛い痛い。苦しい。痛い。いじめだコレェ!
「金」
 神田麻紀は言った。ねえ。怖すぎるんだけどヤクザなの、この子?
「……わかりました」絞り出すように頷くと、神田麻紀は襟首を放してくれた。
 咳き込んでいると、何が気に障ったのか蹴ってきた。
 早よ、と言いたいのか。なら邪魔しないでくれません!?
「……とりあえず六万あります」
「…………」神田麻紀。
「…………」たぶん取り巻きA。
「…………」だから取り巻きB。
 なぜ黙るの?
 わたしは諭吉さんを財布から抜いて、自分の口に放り込んだ。
 むしゃむしゃ。むしゃむしゃ。むーしゃむーしゃ。ごくん。
 神田麻紀が凍りついた。ざまあみろ。
「……六万あるけど、けどお前らにやる金はないです」
 急に、わたしの首が横を向いた。痛い。平手打ちだ、と思ったときには、神田麻紀はわたしの髪を引っ掴んでいた。すごく痛い。
「……なあ」またでた。「……なあ。やっぱお前、あたしら舐めてたな」怖い。
 見た目だけはファッションモデル並みの美人さんなのに。
「脱げよ。マッパに剥いて写真撮って、ネットに流してやるからよ。なあ」
 神田麻紀は軽く顎をしゃくった。ヤクザかよ。
 取り巻きA・Bがわたしの口と手を抑えにきた。ツーカーかよ。いつ打ち合わせしたの。

「そこまでよ」

 教室のドアが開いて、何者かの制止の声がデミ・ヤクザと取り巻きの動きを止めた。

 助けが来た。助けが来た。助けが来た!
 やった。ありがと神様。好き好き大好き超愛してる。
「恋人のGPSを追いかけてきてみれば、まさかレイプに遭遇するとは思わなかったわ。しかも犯人は女の子ときた。世紀末にも程があるでしょ。もう平成終わるのよアンタら。いつまで昭和のノリで生き続けてるの恥ずかしくないの?」
 ーーーーこの声。
 頭から血の気が引いた。そんな。嘘でしょう。ゴッド。ゴッドこの野郎。
 助けは嬉しい。泣くほど嬉しい。でもよりにもよって西明寺さんだなんて。
「……まって。西明寺さん。本当に待って」
 殴られたお腹が苦しくて上手く声が出せない。
 取り巻きA・Bがわたしを放して立ち上がり、ずかずかと地獄に近づいていく。
「なに、お前。誰?」取り巻きA。
「あーあー。見ちゃったねー。アンタも一緒にストリップ決定だから」取り巻きB。
 彼女たちのこの三下ムーブは一体どこで習ったんだろう。
 純粋な疑問だった。普通に生きてたら身につける機会のない三下ムーブだ。
 もしかしたらDNAに三下って刻まれているのかな。
「智子」西明寺さんがうっとり笑う。ひぃい。
 背筋を、ドブ川の汚水に浸した刷毛で撫でられたような悪寒が走る。
「西明寺さん。待って。お願いだから待って。許してあげて」
 わたしは懇願した。必死に。必死に彼女たちを庇った。
「この人たちは三下なだけ。三下なだけだから。話せば……何語かわかんないけど、通じる言葉で話し合えば解ってくれるから。だから」
「お手本のようなナチュラルディス。惚れ惚れするわ智子。でもダメ。レイパー三人も見逃せないし、何より彼女たち、わたしの智子に暴力を振るったわ」
 西明寺さんは謂れの無いわたしディスりをさり気なく挟みながら、訴えを棄却した。
 もうダメだ。おしまいだ。
 神田麻紀が机を蹴り飛ばして威嚇するーー芸のレパートリー少ないな。その脚がそのままわたしを踏みつけるーーごめんなさい!
「ざけてんな。なあ。お前も。こいつも。つうか、おい、なあ、三下って言った?」
「……ごめんなさい……他の言い方が……どうしても思いつかなくて」
 蹴りが謝っているわたしの頭を打った。酷い。酷すぎる。
「はいはい。こっち来いよ」取り巻きAが西明寺さんの近くに。
「写真撮ったらさ、みんな奴隷になってくれるんだよ。あんたもそうなるよ」
 取り巻きBがニタニタ笑いながら、西明寺さんの腕を取る。

「あなたたち。オナニーしたことあるわよね?」

 西明寺さんは取り巻き二人の目を交互に見て、いつものヤツを始めてしまった。
 空気が凍った。
「……は? 今なんて言ったコイツ。キモ」
「……アタマおかしーんじゃねぇの?」
 ドン引きする二人、をガン無視して西明寺さんは畳み掛けた。
「したあるでしょう。オナニー。興奮して、頭が蕩けて、指は止められなくて、クリを小刻みに捏ねるとクチュクチュ音がして……あそこの肉が膨れ上がって、破裂して溶け出していくような最高に気持ち良い瞬間がくる」
 相変わらずなんというセクハラ。
「あっ」
「ん、はっ」
 赤面してセクハラポエムを聞いていた取り巻きたちがピクンと肩を震わせる。
「オナニーしてていいの。ここは安心、ここは安全。オナニーできる場所。あの最高の気持ち良さを、頭と身体で繰り返していなさい」
 西明寺さんが命じる。取り巻きは二人ともその場に倒れ、スカートの中に両手を差し込み、忙しく動かし始め……わ。わわ。うわあ……わあ。エッチだ。
「あっ、あっ、あっ、あぁあっ❤︎」
「は、ひ、はひっ、ひぅう、ひぃいぐ、ひあっ、あぁああっ❤︎」
 甲高い悦びの喘ぎ声。聞いているだけで頭がクラクラしてきた。
 もう取り巻きAもBも、わたしと西明寺さんのことなど眼中にない。
 スカートがめくれあがるのもお構いなし。ひたすら、その……あ……あそこを指で弄り回していた。横向けになったり、仰向けになったり、気持ち良くなれるポジションを探して床を転がり、あられもなく悶えている。
 気まずい。ここはお茶の間ですか。同級生のオナニーとか気まず過ぎて見てられない。

「な、な、え、なにこれ?」
 可愛い声が聞こえた。神田麻紀だった。あ。そっか。そっちが素の声なんだ。
「はーい、次は貴様」
 西明寺さんは謎のキャラ付けと共に距離を詰め、神田麻紀は悲鳴をあげて後退。そっちは窓だよ。逃げられないよ。
「……ひ、う、来るなよ、来んなぁ」
 神田麻紀は情け無く怯えた声を漏らした。逃げて逃げて窓際に背が当たると、今度は教室の隅の方へ逃げていく。まあ怖いよね。いきなりオナニーとか言い出す女子とか。言われるまま何故か取り巻きがオナニーしちゃう異常事態とか飲み込めないよね。
「ひっ」
 とうとう逃げられなくなった。コーナーに追い詰められた神田麻紀は、もう群れを率いるライオンには見えない。狩られる側。ただのお肉。
「これはあなた」
 西明寺さんはポケットから五円玉を出して、突き付けて、よくわからない事を言う。
 これはあなた。初めて見るヤツだな。
 悪魔みたいに面白がっている西明寺さんの目と、お肉の怯えきった目が合う。
「な、なに、どゆこと……?」
「言葉通り。この五円玉が、あなたよ。スマホのスワイプ、やったことあるでしょう。あんな風にあなたの意識が、そこから、ここにスライドしてくるのよーーほら!」
 西明寺さんが一喝すると、神田麻紀の目から意思と感情が掻き消された。かくん、と首が据わらなくなって、脱力した身体がコーナーにズズズと沈んで尻餅をつく。
 魂が抜けたような神田麻紀を尻目に、西明寺さんは窓を開けた。
「いい風だわ。ねえボスレイパー。聞こえてる?」
 五円玉に話しかけている西明寺さん。その名前は可哀想すぎるからやめてあげて。
「あなたを窓から放り投げてやりたいんですが、構いませんね!」
 わあ。いい笑顔。
 ピン、と親指で弾かれた五円玉が超高速でグルグル回転しながら窓の外へ飛んでいく。

「キゃあああああああ、キゃあああああああああああっ!」

 うわあ。ビックリした。
 鼓膜に響く絶叫をあげているのは、コーナーで真っ白に燃え尽きていたお肉さんだった。
 あ。そうなるんだ。当然か。本当に五円玉に意識が入るわけじゃないし。
 神田お肉さんは手足をバタバタと暴れさせ、でたらめにゴロゴロと身体を転がしている。
 涙に、鼻水、よだれに塗れて美人が台無しだ。
 神田麻紀は絶叫しながらお漏らしまでして、恐怖が限界を超えたのかな、糸が切れるように失神した。
「智子。悪は滅びたわ」
 滅んでない滅んでない。滅んでない悪が何か言っている。
「もう行きましょう。ラブホテルに部屋をとってあるの」
 なに言ってるのこいつーーわたしは微笑み、西明寺さんの手をとって立ち上がる。
 快感でドロドロになったままエロティックに喘ぎ悶え、オナニーに耽る取り巻きたち。
 おしっこの水溜りで気絶している神田麻紀。
 西明寺さんをチラ見する。彼女は、わたしも詳しくは知らないけど、瞬間催眠という技術を持っている。
 目を合わせた人に暗示を囁くだけで、その通りに操る事ができるんだそうだ。
 例えば。オナニーの最中の記憶を連想させて、絶頂のまさにその瞬間の状態に、意識を固定してしまう……とか。
 例えば。まるで自分の意識が五円玉に乗せ替えられたと思い込ませて、身体を抜け殻のようにしてしまう……とか。
「……後始末するから手伝って」
「いつも思うんだけど、なんでこんなのに情けをかけるの」
「いいから手伝って。三人とも運動部のシャワールームで体洗うから。おしっこ付いた制服どうしようコレ。」
「えっ。それラブホに行く時間なくなるんじゃないかしら?」
「最初から、そんな気は、ありません。これ、あなたの後始末をしてるんだけど」
 西明寺さんは『ヤレヤレ』と肩をすくめる。
「それから」
「まだあるのかしら」
「助けてくれてありがとう、西明寺さん」
 彼女は猫のように目を細くして笑った。
「どういたしまして。ラブホにきてわたしをファックして良いぞ」
 わたしの手刀が西明寺さんの小さな額に落ちた。