2chMCスレッド

2chの「MC・催眠系総合スレ」をまとめてます。(作りかけだから見にくい)
美形タイプ催眠使い - 2chMCスレッド

美形タイプ催眠使い



(第1話)
(第2話)
(第3話)


第1話


「今時手紙なんて古風だね」
「あ、あの……」
手紙の差出人はセミロングの切りそろえられた髪を揺らしていた。
紙の上の文字や文体と一緒で、大人しそうでオドオドした少女……
腕章から2コ下の一年生だ。
「ボクと付き合いたいの?」
「は、はい……」
どもりながら答える姿に不快感を覚える。
それを顔に出さないようにしながら、ボクは続けた。
「じゃ、取り敢えず脱いで」
「え……は?え!?」
余りに自然な音程に、彼女は一瞬なにを言われたか分からなかったようだ。
「なっ……え……?」
ようやく内容を理解したらしく、しかし反論するでも確かめるでもなく言葉を詰まらせる姿は苛立たしい。
「無理ならいいよ、キミにはボクの彼女は無理だ」
「あの、ちょっと待って……」
踵を返そうとしたボクを彼女は弱い女の力で引き留めた。
「脱げって、な、何を……」
「服に決まっているだろう?キミが今着ている制服を」
「ふぇ…えっ?」
「丁寧に教えてあげるよ。今、ココで、全裸になれと言ったんだ。そして身体をボクに差し出せ。ボクを性的に満足させろ」
高校の校舎裏で非現実的なコトを言われた彼女は、ただただ目を丸くし続けた。
「できないのか?」
「で、できるとか、できないとか……そ、そんなおなしなこと……」
ようやく出てきた彼女の意志は、否定だった。
「じゃ、これでお終いだ。腹立たしいな、こんなことに時間を取られた……」
「な、なんでそんなこと言うんですか?せ、先輩……」
彼女のボクを見る視線に、気狂いでも見るかのようなものが混じっているように感じた。
「ボクはキミを知らない。キミはボクを知っている。それはボクが有名人だからだ。
 試験や模試ではいつもトップにいて、フェンシングの国体選手で、生徒会長で、後は容姿端麗もそうか?」
それをボクが言ったとて、だれが「うぬぼれるな」と言えるだろう?全部事実だ。
「まさかこの世の中に才能なんてものがあると思っているのか?これはね、ボクが血を滲むような努力の結果なんだ
 キミは、何の代価も無しに、キラキラ光る宝石を身につけられると思っているのか?石ころが!」
彼女は膝を付いて泣き出した
ただの言葉だけで、簡単に腰が砕けた。なんという惰弱さだ。
「だから代価を出せと言っている。それでも割に合わないんだよ。わざわざボクが磨いてやるんだからな」
「ひ、酷い……」
「なにが酷いものか。この前ボクに告白してきた女はな、下着を着けないで街を歩かせてたはいいが、輪姦されろという命令は拒絶した。
 ボクの命令に従うと自分で宣誓しておきながら、だ。なんて酷い女だろうな?そう思わないか?
 その前の女には燭台になって貰った。趣味でね、天体観測に山に登るのはいいけど灯りがないと不便だろ?
 彼女は裸で蝋燭を刺して灯りになって貰った。蝋燭の蝋と、山の寒さと、ヤブ蚊の吸血で朝まで持たなかったよ。
 まったく、使えない女だった……さて、キミには何をして貰おうか?」
ボクは彼女の顔の前に手をかざした。
「時間は有効活用するものだよ。だからボクはここまでこれたんだ。
 キミがキミの自由意志でボクに忠誠を誓わないなら、ボク自身の能力を上げる練習台になってもらう」
ボクの手の動作を思わず追ってしまう少女は、しだいに目の光を失っていった。
「まあ、どっちみち実験なんだけどさ……とりあえず、立て」
ボクが命じると、彼女はそれまでとうってかわってキビキビと立ち上がった。
「……そうだな、取り敢えず30万、月末までにボクに貢いでみろ。方法は問わない」
「……はい」


実験結果:催眠以外の基本的思考は命令しないかぎり元の人格に起因すると思われる。
モルモットA、B、Cに同様の命令を指示
Aはアルバイトを行うが、規定額に及ばないのは自明の理であり(そんなことにも気付かず行動するのは理解の範疇だが……)、売春行為を行って規定額まで達した。
追記:Aの売春行為が学校側に発覚したために、Aの記憶を削除。尚、Aは行為の動機を黙秘していたらしい。これもAの元の性格に基づくと思われる。
Bは窃盗などの犯罪行為で規定額まで到達、ただしこれらの行為はBの従卒的友人達によって行われた為に罪の分散によって社会的に発覚することはなかった。
Cは投機売買によって規定値に到達。初期資金は自身の身辺の品を売却したものであるが、それを規定額まで伸張させた手腕は評価。
次の実験の課題は不可能領域の命令に対しての効果。
尚、モルモットB:香奈河ゆい(二年生)、モルモットC:小香山咲(三年生)の二名はこれからも継続的に使用することを決定。



「何のレポート?」
「秘密だよ」
咲の張りのある声が背後から聞こえて、ボクはノートを閉じた。
「知りたいわね。私はアナタのその知恵の秘訣を知りたくて私は生徒会なんてやっているのよ?」
生徒会室で資料を纏める為に残っていた咲がノートに手を掛ける
「……防がないの?」
「咲が欲しいのはボクの秘密じゃなくて張り合いなんじゃないのかな?
 ずっと自分が一番だったのに、ボクに会ってから一度も成績で勝ててない……
 けど、それに対してキミは嫉妬じゃなくて好奇心を抱いた……そんなキミが少し、ボクには羨ましい」
健やかな人間を見ると壊したくなる……これは嫉妬なのだとボクは知っている。
咲が怪訝そうな目でボクを見てきたが、それ以上は何も言わなかった。
「さて、リストアップはできたかな?」
「私を誰だと思っているの?」
備え付けのパソコンのディスプレイを咲はボクに向けた。
「まったく、三年生に上がったばかりでこんなコトをやるなんて……どういうつもり?生徒会長?」
「流行ってるだろ?構造改革」
ディスプレイの名簿に目を通しながら、冗談を言う
Bクラス……成績優秀者を集めたクラス、Cクラス……スポーツ優秀者を集めたクラス、
Dクラス……芸能優秀者を集めたクラス、Eクラス……財力・権力をもつ近親者がいる人間を集めたクラス
そしてAクラス……容姿端麗な女性を集めたボク専用の性欲処理のクラス
「2種以上該当する生徒は英字の若い方を優先させて所属させたわ」
「チョーカーは明日届くって?」
A~Eにはそれぞれ赤、青、緑、白、黄のチョーカーを与える。五つに漏れた愚物には灰色のチョーカーを。
男に首輪を付ける趣味はないので、そっちは今まで通りの腕章に
「ボクに抱かれる度にチョーカーに星を付けていくのもいいな。ボクの寵愛が他人にも見て取れるだろう」
「そうね。でも今はそういうのは後にしてくれる?思いつきを実行に移すのは大変なのよ」
咲の言葉にボクは悪かったと苦笑する。
「明日の生徒総会には新しい学校になっているかな?」
「それはアナタの協力次第よ。これからAクラスの子を集めているわ、アナタも来て」
「ん?」
「人には好きこのみがあるでしょう?それに女性器の具合とかセックスの相性とか。Aクラスはアナタ専用の後宮なのよ?」
やはり、この女は使えるな。
「ご褒美でもやろうか、咲?」
彼女の顎を持ち上げて、唇を指でなぞる。
「要らないわよ、犬じゃないんだし」
「あっはっは!!犬か!そうだな犬じゃないものな!」
「……なにがおかしいの?」
犬畜生の奴隷の姿が、さ
「ボクは用事があるから、視聴覚室に彼女達を集めたら呼んでくれ」
「わかったわ」
咲は校内放送をするために放送室に向かったようだ。
ボクはというと、職員室に足を向けた

この催眠術を発見したのが一ヵ月前。
催眠術という存在を知らなかった訳ではない。暗示は自分自身の集中力を高めるのに有効な手段だし、洗脳というのもあるにはあるだろう。
しかしそれらの行為は長い時間をかけて達成するものであって、こんな一瞬で強力な催眠を与える、
そう、まるで魔法のような催眠術が本当にあるなんて思いもしなかった。
ボクは戦慄した。
ボクは特別な人間ではない。この催眠術は仕組みを理解しコツを掴めば誰でもできる……少なくともボク程度の知能の精神力があればできる。
ボクが一番最初に恐れなくてはいけない存在――それはボクと同じ催眠使い。
「ボクの努力はボクが代価をえる為のものだ!努力をしない人間は屑だ!
 屑はより優れた人間に奉仕するためにある!優れた人間は、努力した人間は搾取する資格があるんだ!」
夕日が差す職員室に、咲の校内放送が響いている。
「そう思うだろう?」
そこには職員室に呼び出された生徒が一人いる。
「あ、アンタ何を言っているの…ッ?」
そう彼女は首を見回すが、ボクの発言など聞いてなかったかのような職員の反応に狼狽える。
「キミこそ、ここ数日ボクをつけ回してどういうつもりかな?」
ボクが指を鳴らすと、国語の山潟先生が四つんばいに床に張った。
「椅子は女がいい。男は固すぎる」
成熟した女の柔らかさを確かめるように、山潟先生の尻を叩きながら感想を述べた。
「な、なに?なにコレ……」
彼女は突然のコトに次の言葉が出てこないようだった。
「腕章からして一年生みたいだけど、名前は?」
「壬矢崎ナミ……」
「ナミ……ふぅん。どうしてボクを……」
言葉の途中で彼女が飛び掛かって来たが、ボクは冷静にかわして見せた。
「早いね。普通の相手だったらだけど」
彼女の柔らかい首もとに机の上にあった万年筆を突き立てる。
ボクがフェンシングをしているのは一番実用的だからだ。
ボクシング、空手、柔道は徒手空拳で得物持ちには敵わない。
しかしいつでもどこでも竹刀や弓を持っている訳にもいかないし、都合良く落ちてない。
フェンシングなら基本動作が「突き」なので応用が利く。
「怨みは買わないように生きてきたつもりだけどな」
「壬矢崎ナミの名前を覚えてないの!」
「誰だい?」
「アタシの友達だ!!」
犬歯を剥き出しにするその姿は美しくない。黙っていれば中々の顔なのに、だ。
「アンタ、ナミに何をした!!アノ子は……アノ子は、身体を売るような子じゃない!」
「だから誰だい、それは?」
「アンタに告白した日から、ナミはおかしくなったんだ!!」
「……ああ、それでようやく思い至った」
あのモルモットのことか。
全く、他人というのはどうしてボクにこうも期待するのだろう。
自分だって目の前をウロウロ飛ぶハエに名前など付けないだろうに、ボクにだけはこの世のあらゆるコトを覚えていろと言うのか。
「貧困な発想力と能力しかないから、身体を売るなんて考える。汚らわしい」
「な……っ」
「あんなのと友人な時点でキミの程度が知れるが……しかし今のキミには価値がある」
"ボクを追う者"としてだ。
彼女には生涯、ボクを追い続けて貰う。同じくボクを追う人間が現れた時の餌や伏兵にするために。
ボクが二度指を鳴らすと、こんどは屈強な体育教師が二人がかりで彼女を押さえた。
……そういえば名前聞いてなかったな。まあいい、催眠をかけてからでも遅くはない。
「ようやく見つけた!!」
「……なんだい、咲」
これからクライマックスというところで一時停止のボタンを押した咲に、ボクはつまらなそうに答えた。
職員室のドアを閉めると、咲はズカズカとボクに向かって来る。
「よく考えたら、携帯電話をアナタが持っているのに、どうやって連絡とるのよ?」
「放送で呼び出せばいいだろう?」
「校外まで聞こえちゃうじゃない。ハーレムクラスの準備ができましたので視聴覚室においで下さいって」
上手い言い方の一つや二つ考えればいいだろうに。
彼女は事務系の仕事以外で使うのには良いが、それ以外での使用では期待値以上のものは出せないようだな。
「ハー…レム?」
取り押さえられた少女が咲の言葉を繰り返すのを見、ボクは少し面白い趣向を考えた。
「喜劇映画は好きかな?ボクは好きなんだ。三大喜劇王の中では特にロイドが好きだ。
 チャップリンは嫌いだね。彼は笑いで人々を啓蒙しようとした」
「はぁ…?」
「喜劇は喜劇だから面白いと思わないかい?」
ボクは咲に向かって命令した。
「咲、確かに携帯電話がないと不便だね。彼女のを貰いなよ」
「そうね……」
ボクの言葉に何の疑問もなく、咲は彼女の身体をまさぐる。
「ちょ、ちょっと、止めてよ……何考えて……きゃあ!?」
手際よく、咲は彼女のスカートを剥ぎ取ると、羞恥に縮まる彼女からさらに最後の一枚まで奪い取る。
「ねぇ……よく考えたら彼女が携帯電話もっている訳ないじゃない」
「ははは、咲はうっかりさんだな」
「な、何言ってるのよ!こんな所に携帯があるわけ無いじゃない!!」
股を閉じて必死に隠そうとしながら、彼女は涙目で反論した。
「何をいってるの?アナタ」
「咲、彼女は携帯を知らないらしい。見せてあげようか」
「優しいこと。まあいいけどね……」
咲は短く賛同すると、その細い指をボクの下半身に伸ばした。
「キャア!!」
本日二度目の悲鳴をあげる少女を尻目に、咲はボクの性器を丁寧に取り出すと口を膨らませた。
「何よ、アンテナが立ってないわ」
「じゃあたたせてくれないかな」
「まったく、不便ね……」
「非道いな、これでも自信作のつもりなんだよ?そもそも咲は他の電話を知らないじゃないか」
「そりゃ、そうだけど……」
やわやわと咲は手慣れた様子でボクの性器を擦り刺激する。
「な、何をしているの……おかしいわ!先生、みんな、どうして……」
「彼女、どうしたの?」
「携帯を初めて見て興奮しているんだろう」
「へぇ、珍しい子ね」
雄々しく立ち上がったボクの携帯電話を、咲は満足そうに眺めた。
「咲はさ、メールを両手打ちするよな」
「そっちのほうが早いもの」
「初めて見たときはビックリしたよ。そういうキャラに見えなかったからね」
「偏見よ」
「やって見せてくれるかい?」
咲は黙々とその十の指を繊細に動かして、ボクの性器を刺激し始めた。
「ンフフフ……」
「何がオカシイの?」
その滑稽な姿に笑いを抑えきれなかったボクに、咲が首を傾げる。
「いや、それよりも電話が鳴っているけど?」
「え……はい、もしもひ」
咲は慌てて性器の先を咥えると、玉袋を優しく包み掴んで耳に当てた。
「………」
少女は絶句して口をパクパク振るわせているだけだった。
「やっぱり笑いに思想なんて要らないよな。同じように、セックスにも愛なんて要らない」
咲の口からジュブジュブと唾液と先走りが混じった液がこぼれ落ちる。
通話はそうするのだと、ボクが教えたのだ。
「生殖と享楽、それが全てだ。強い者だけが子孫を残し愉しみを得れる。そしてソレが進化に繋がる。
 キミもボクの子を産むといい。それは幸福なことなんだ、ボクの資質を受け継いだ子を産めるのだからね。
 もっとも、ボクのように育つかどうかまでは責任は持てないけどね……」
少女に向けてボクは手をかざした。





病室の花を変える。
「ナミ、今日は少し遅くなってゴメンね……」
ナミは心の病を患ってからずっと伏せたままだ……
「ナミ……」
子供の頃からずっと一緒だった、アタシの一番の友達。
「可哀想なナミ……」
日に当たらないナミの肌は身体まで病気になったように白い。
「あの男……絶対にシッポを掴んでやる……」
あの悪魔のような男、顔を思い浮かべるだけで胸が苦しい。
悲鳴を挙げなくなる。身体が震える……
どうして?
これじゃあまるでアタシ、怖がっているみたい。
そんなことでナミの仇なんてとれるの?
(何を勝手に弱気になっているんだ、アタシ!)
想像だけで怯えてバカみたいじゃない。
アタシはまだアイツの正体を見ていないのよ?
普段は聖人君子面しているけど、絶対本性は別にある。
でもアイツは、人を騙すしか脳のない、最低の屑なのよ?
どうして怯えることがあるっているの?
「アレ?痣……?」
震えた手を押さえて気付いた、手首の痣。
こんな痣、いつ出来たんだろう?
まるで男の人の手の形みたいな……
「変なの……」
それになんだか今日はとっても身体が怠い……
「でも、こんな辛さ、ナミに比べたら全然だよね。そうそう、今日はナミにお土産あるんだよ」
私は立ち上がると、膣に埋めていたバイブをゆっくりと引き抜いた。
溢れ出すアイツの精液を零れないように手で受けとめると、ナミの顔に近づけた。
「アイツの精液だよ」
ナミにゆっくり匂いを嗅いで貰おうと鼻腔の前で手を揺らす。
「今、飲ませてあげるね……」
私は手酌で精液を啜ると、ナミの頭を持ち上げて口移しで飲ませた。
「ん……」
口にあった分は全部挙げた。あとは綺麗にしないと……
床に零れた分と、掌の分を私は綺麗に舐めとると、鞄を持った。
もうこんな時間……
「また明日も来るよ……」
いつか絶対、アイツをナミの前で謝らせてあげるからね。
精液と私の唾液で光ったナミの唇が艶やかに光った。



第2話


駅前のショウウィンドウでボクは髪型を直した。
これから会う人の為だ。
ボクは優秀な人、つまり努力する人には敬意を払う。
ボクがこれから会うのはそういう人だ。
「ねえ、そこのお兄さん!」
とボクに声をかけてくる女性の次の言葉は大体「モデルをやらないか」「ホストをやらないか」「芸能界にはいらないか」だ。
「失礼、急ぎなので」
「そう言わないで……」
食い下がってくる女を振り払うように足を速めた。
(アナタが三人居ても、ボクがこれから会う人の時間を割く価値がないんだ)
駅に着くと、ボクは壁に背をかけて彼女を待った。
耳にイヤホンを指して英単語を学習する。
「………」
黙って立っていると時々女達が色目を向けてくる。
一度自分の顔を鏡で見ればいいのに。
「だ~れだっ!」
「叔母さん」
「それ禁句~」
口と尖らせた舞がサングラスをずらしながらボクを見上げた。
「髪伸びた?」
「ウィッグ」
通りで気づかない訳だ。
舞はするりとボクの腕を取る。
「大胆だね」
「だから変装しているんだよ、お兄ちゃん」
この年下の叔母は白い歯を覗かせると、さらに身を近づけた。
「そうだね」
ボクはスラリと高い、華奢な舞の身体を抱きしめた。
「ちょっと貴愛……」
タカチカ……とボクの名前を繰り返す舞。ボクは嫌いだ。貴い愛なんて名前。
でも、舞に言われるなら心地好い。
「会いたかったよ」
「……私だって、そうよ」



ボクの母は13でボクを産んだ。
舞はボクと前後して産まれた母の両親……ボクの祖父祖母の三番目の子だ。
舞は母に対して姉という感覚は持ってない。
祖父たちはボクを自分たちの子として育てようとしたが、母はそれを嫌がって家を飛び出たからだ。
父親はわからない、語らなかったという。
長女の母と家族の間に立ったのは舞の姉に当たる叔母だ。
彼女は平凡な人で、もうすぐ結婚を控えている。
その叔母に時々一緒に付いてきたのが舞だった。

「明後日だろう、ライブ。楽しみだな」
「私はあんまりなんだけどね……」
舞は高校生ながら結構な人気のバンドのギタリストをしている。
だが、彼女の真価は音楽ではなく作詞能力にある。
「私はホントは音痴なんだ。ギターもひいひい言いながら弾いてるの。
 ウチってダブルギターじゃない?アレってホントは私が居なくても曲はできるのよ」
「そんな風には見えないけどな」
「良くないわよ。私がどれだけ苦労していると思っているの?」
「だからボクは舞が好きなんだよ」
それに舞の歌詞が無ければあのバンドは二流だ。
「ツアーもさ、みんな私にトップやれっていうのよ」
「そりゃ見栄えがいいからだろう」
サングラスなどかけていなければ街行く人は、(舞が有名人だという事を差し引いても)振り返るだろう。
「でも舞を客寄せパンダにしようっていうのは、自分たちの音楽に誇りがないな」
「本気にとらないでよ。みんなプライドもってやってるわ。でも、ノエルさんと同じコトいうのね」
「ん?ベースの人だっけ?」
「うん」
舞が差し出したクレープをボクは囓る。
「それに」
「それに?」
「みんなの協力があるから、こうして逢えるんじゃない。
 帰ったら怒られるんだよ?リハをすっぽかしたことと……」
「朝帰りで?」
「ん」
短い肯定と一緒に肩を預けてくる舞を、ボクは抱きしめようとして……携帯が鳴った。
(咲か……)
腹立たしく思ったが、彼女は無駄な用件でボクに連絡を入れたりはしないだろう。
「ゴメン、少し外す」
相手が相手だけに、会話の内容が他人に聞こえたら不味い。
ボクは一人になれる場所を捜した。



で、帰ってきてみるとだ、
「キミってキョウトマイに似てるね~」
(本人だよ……本物の橋杜舞だ)
ボクは呆れながらも舞に粉を欠けてる男を押しのけた。
「ボクの女に触るな」
というか、見るな。知性の欠片も無さそうな男が。
すると男はボクを知っているらしく、ボクの奴隷の一人である香奈河ゆいの名前を出しながら何か喚いていた。
「……いこうか、舞」
関わりたくないので、舞をそう促すと、激高した男はボクに向かい掴みかかってきた。
「………」
ボクは横に避けると同時に、男に足払いを食らわせる。
「大丈夫?何か誤解があるようだけど……」
転びそうになる男を支える振りをして喉を潰す。
痛みに膝を付く男に、ボクは手を差し出す。
「今は勘弁してくれないかな?」
無理矢理、男の手をとって立ちあがる手助けをするフリをしながら小指の骨を折る。
「――!」
(哀しいね、喉が潰されてるから悲鳴も上げられないなんて)
「ボクは、恐怖とか痛みとかで人を支配するのは嫌いなんだ。わかるだろう?」
男だけに聞こえるように囁くと、慄然とする男に対して踵を返した。

不思議だな……
舞だけは
舞だけは優しく扱ってしまう。肌を合わせる時も、ボクは何度も、何度も、舞の柔らかい肌を愛撫して
舞の声が漏れる度にその唇を奪って、舞が切なく手を彷徨わせると握ってしまう。
他の女にはこんな事はしない。
しても気持ちよくないからだ。
舞だけは気持ちいい。
舞を優しく扱うと、ボクも気持ちいいのだ。
「………」
「少し、変わったね」
「ん?」
「貴愛は、前は鉄の仮面をすっぽりと被っていたね。今は少し薄い、能面のような……」
ベットの中で舞がボクの頬を撫でる。
「でも、仮面の下も冷たい人……」
「舞……」
キミは、ボクの隣にいるのに相応しい。
ボクは……望んでいる。
「舞、ボクの傍に居てくれ……これは睦言じゃない、本気の意味でだ」
「え……それって……」
舞の左手の薬指を何度か撫でる。
「明日の昼、ボクの家に来てくれるかい?」




「本日の欠席者は全部で三十六名」
「わかった。(彼らには後で催眠をかける必要があるな……)生徒総会の前に人数のチェックは怠らないように」
昼休み、生徒会室で咲の報告を受けながら、ボクは答えた。
「生徒総会までには戻ってくる」
生徒総会は六時限目だ。昼休みと五時限目をサボれば間に合うだろう。
「え?何処に……!?」
「なんだ?咲はボクがいないと何もできないのか?」
咲にはこの一言で充分だ。

ボクが家に帰ると、すでに舞が待っていた。
「……貴愛、これは?」
虚ろな目でウェディングドレスを縫い続けるボクの母の姿に、舞は唇を振るわせた。
「前に、母さんの夢を聞いたことがある」
「私が来ても反応しないの……これって……」
「病気じゃないよ。幸せな時間の中にいるんだ」
この人には功がある。ボクを産んだという功が。
だから……だ。
「一ヶ月前、だよ」
「一ヶ月?」
「……ボクがこうした」
ボクは舞の前を通り過ぎると、窓を開けた。
2LDKの狭いアパートは、すぐに横断できる。
「……一ヶ月前に、逃がした」
窓の横の空の鳥かごを、ボクは揺らした。
「リリを?」
飼っていた鳥の名前を舞は口にした。
「ああ。戻ってきたよ……」
賭をしていた。ボクは催眠術を知った時、この力をどうするか……
「戻ってきたら、殺すつもりだった。そして戻ってきた。殺した」
「嘘でしょ……あんなに可愛がってたじゃない……」
「儀式だよ。ボクはこれからボクだけの為に、倫理から見れば悪辣と言われる行為をしていくからね」
ボクは大きく息を吐いた。
「ボクはある力を得た……。勘違いしないで欲しいのは、別にこれで復讐をしようとかいうつもりじゃない」
母は父の事を話さなかった。
だからボクは一人で父を探し出して、でも母は父を恨まず、裁判を起こそうにもボクではどうしようもなく……
理解不能だった。
それは母だけではない。
父も、どうしようもない愚物で……あんな男に母は何処が良かったのか?そう思いながら、ボクは努力した。
お前が捨てた息子はこんなにも輝かしい男だと示す為に、ボクは努力した。
「もしかしたらボクの父にあたる人も、この力で母を使い捨てたのかも知れない。
 でもどうでもいいんだ。この力があって、あの程度しかできない男なんて張り合うに値しない」
ボクに復讐があったならば、それはもう終わっている。
「ボクは誰よりも上り詰める。そして上り詰めた代価として全てを手に入れる」
後ろの舞はどんな顔をしているのか?
何も話さずにボクの話を聞いている。
「ボクは舞にはこの力を使いたくはない。だって舞はこの力を使うべき、優れた人間だ。ボクの隣でね」
手を太陽に翳す。
この手が……ボクに力を与える。
「舞、ボクと一緒に……」
ボクが振り返った瞬間、舞は猿のように飛び跳ねて物陰に隠れた。
「……それは拒絶かい?」
「愛してるわ。だから拒絶する」
凜とした声で舞が答えた。
「愛でるという感情は嫌いだな。愛でられるということは下位の存在ということだ」
「それは人が道具に向けて使う愛よ。人形に向かっていう愛よ」
「他に何がある?」
ボクは一歩、足を進めた。
「やっぱり舞は優れた人間だ」
ボクが振り向いた瞬間に隠れた。ボクの"ある力"というものは判らないだろうが、咄嗟にベターな行為を行った。
そして、ボクがこうして"ある力"を使ってこないということは、対面しなければ意味が無いという証左なのだ。
「でも玄関とは逆方向だ……」
舞と反対側には母がいた。
母はボクの力の影響化にある。近づくべきではない。
……いや、単純に捲き込みたくなかったのだろうか?
それはあまりに愚かしいが。
「それで、どうする?」
物陰から伸ばした舞の手が果物ナイフを握ったのを見て、ボクは笑った。
「人を刺すのは簡単じゃない……狙うなら目がいい。できるといいね、舞」
さらに一歩、足を進める。
「でもね、舞。ここは文字通りボクのホームなんだ。既に罠の中なんだよ」
携帯で香奈河ゆいの番号を呼び出し、床に投げる。
彼女が舎弟を使ってこの家を包囲しているという報告をした。
「ボクは舞にはこの力を使いたくはない……か」
舞は万感の思いを込めて言った。
「……嘘つき」
舞はボクの前に姿を現す。
「じゃあ、催眠をかけようか……ボクの愛しい人形」




「ん……はぁ……」
母の縫ったウェディングドレスを舞に着せて、犯す。
純白の生地が揺れる。
「不思議だね……」
後ろから舞を抱きしめながら、レースから溢れた乳房を包むように撫でる。
「やっぱり舞にだけは、こうして優しく抱きたくなる」
「好きよ……愛してる、貴愛……」
「そういう言い方は止めろといったよ」
「うん」
舞が従順にボクに従う。
「…………」
どうしてだろうか。
他の女達に催眠をかけたとき、この瞬間こそがゾクリと沸き上がる悦楽の瞬間である筈なのに……
「変だね、ボクは」
「嘘つきだからね」
ボクの独り言に答えた舞に、ボクは自嘲した。
「ああそうだね。ボクは舞に催眠をかけるために呼び出して……」
「それは嘘じゃない。だって家の周りに人なんていないわ」
何?
「嘘を付くとき、語尾が下がる癖があるもの……」
何を……言っている?
この女は……
ボクに教えたつもりか?世界は代価だけではないと、無償のものがあると、そう伝えたかったのか……!?
「貴愛?」
呼吸が乱れるボクを、舞が心配そうに覗き込む。
純白のドレスを着た舞が……
う……うわあぁあぁぁぁぁあぁぁぁぁぁ!!!
「舞!!」
はぁ、はぁ、はぁ、はぁ
「……命令だ……ボクを……刺せ……」

「遅くなった……」
「生徒会長!!」
体育館には全校生徒と教員が揃っている。
中にはすでに催眠にかかっているものも居るが……
ボクは舞台裏でその様子を眺めながら報告を聞いた。
「ちょっと……」
咲が床の染みに気づいてボクの肩を取る。
ボクが歩いた後に点々と赤い血の後が残っていた。
「怪我しているじゃない!?」
「ああ」
「大丈夫なの?」
「痛いさ」
ボクは咲を振り払うと、舞台の檀上に進んだ。
「……痛いからいいんだ」
この痛みが……ボクが迷いそうになる時、引き留まらせるだろう。
ボクにもう、帰れる場所などないのだと。
ボクはまだ、甘かったのだ。
だからボクはもう、甘さを捨てた。
「ありがとう、舞」
檀上はライトで酷く眩しく、ボクを見る生徒達の顔などは区別が付かない。
ああ、これだ。
顔があるのはボクだけでいい。
「皆さん、こんにちわ。生徒会長の木戸貴愛です」
今日、ここから始めよう。
この力で
「今日は、みなさんに素敵なお知らせがあります。それは……」
全てを踏みにじり、
隷属させ
「貴方達はこれから、オレが楽しむ為だけに存在してもらうということだ!」
クックク……フフフ……ヒャハハハッハ……
ハーハッハハハハハハハハ!!


第3話


高校がオレの最初の城になった翌日、オレは舞のバンドメンバーに質問攻めにされていた。
「うわー写メでみるよりイケメン~」
ショートカットのやや厚い唇をしたヴォーカルのイツキ
「舞とは美男美女って感じだね!」
金髪のツインテールなギターのカエデ
「こりゃ舞が惚気るわけだ」
ニット帽を被って飴を舐めているのがドラムのミカ
「ははは……」
正直ウザったい。
「舞の恋人だからって、楽屋に部外者入れるのは感心しないな」
ボーイッシュな声で、爪を研いでいたベースのノエルが三人を咎めた。
クールビューティというのに相応しい切れ長の目と、長い髪を持っている。
(那等ノエル、舞の一コ年上の音大生、バンドリーダーで、舞が作詞担当なら作曲担当が彼女、か)
「すみません。でも舞の傍にいたくて」
オレの言葉に黄色い声が上がる。
「ノエルさん、実は大事な話があって……」
そう切り出した舞に、ただならぬものを感じたのか、ノエルはオレ達に顔を向けた。

「バンドを辞めるって?」
「はい」
その舞の言葉に、ノエルを除いた三人が悲鳴に近い声をあげる。
「どうして?」
彼女たちを押さえながら、ノエルが訊ねる。
「結婚しようと思っているんで」
オレは舞の肩を抱き寄せて笑った。
「ちょっと舞、ホント!?」
「だってまだ18じゃん……って、結婚できるんだっけ?」
「うっそー…」
思わず耳を塞ぎたくなるような喚声に、顔をしかめたくなる。
「待ちなよ、結婚したって音楽はやれるだろ?」
ふぅん、この人は他の三人に比べて冷静だな。
「でも大きなお腹じゃギターは……」
と、舞が答え終わるより先に三度声が上がった。
(嘘、だけどな)
その内本当にするとはいえ、現時点では舞にオレの子はいない。
が、理由としては自然だろう。
これから彼女たちを催眠で操って認めさせるとはいえ、他人が聞いて納得できないような事態は不信を呼ぶ。
「ちょっとアンタ、よくもアタシの大事な妹分を……」
怒り心頭なのはノエルだ。
これは少し面倒だな。舞曰く「みんなのお姉さん」は伊達じゃないらしい。
「まあ、そういわず祝福して下さいよ……」
そういってオレは手をかざした。


実際の所、舞の歌詞は彼女たちには勿体ないのだ。
だから辞めさせた。
(大衆を動かすのにアイドルは必要だ……)
そういうカリスマという力があれば催眠をかける状況も人員集めもしやすいというものだ。
(ちょっとしたプロデューサー気分だな……)
オレのAクラスの一人、市臥ミクを取り敢えずヴォーカル候補として用意している。
後は作曲家か……
とりあえずこのバンドとマネージャーに催眠をかけたことで業界に足がかりはできたが……
「舞、幸せにおなり……」
ボロボロ泣き出すノエルに、オレは思わず失笑してしまう。
舞は幸せさ。オレの一番なんだからな。
「そうだ、みなさん」
オレは思いつきでこんなことを言った。
「舞の解散ライブをオレ達だけでしませんか?」
無論、拒否権など彼女達はない。

オレはライブハウスを借りると、観客が一人だけのライブをするように彼女たちに命じた。
それぞれに楽器をチューニングしている彼女達を、オレは椅子に座って眺める。
「ちょっと待って下さいよ、解散ライブですよ。解散ライブは下着だけでするものじゃないですか」
オレの言葉に彼女達は思わず声を漏らした。
「そ、そうだったね……」
とは言うものの、羞恥心は残したままだからオレの前で下着になるのには抵抗があるのだろう。
一名を覗き。
「こんなことになるならもっと可愛いのにすればよかった……」
舞はそんなコトを言いながらオレに若草色の下着姿を晒す。
他のメンバーも逡巡してたが、舞は人望があるのだろう、「舞の為だもんね」と次々に脱ぎだした。
「へえ、イツキさんはスポーツブラ?」
「胸締め付けられると歌いづらい気がするんだよ。別に普段からこう色気がない訳じゃない」
「で、カエデちゃんは……」
「へへ、ロリロリっしょ?」
赤のガーターベルトが目に痛い。彼女は舞よりも一コ下だが、体系はそれ以上に幼く見えた。
「んじゃアタシはエロスで~」
チュパチュパと飴を舐めながら、ヘビ柄の下着を見せつけるようにミカはくねらせた。
「へえ、みんな色々だなぁ」
と、一人ノエルだけがまだ服を脱がずに途惑っている。
「どうしたんです?ノエルさん」
「う……」
催眠が効きづらいというのか?あるいは羞恥心が強すぎるのか?
「舞を送り出してやって下さいよ」
これで駄目なら催眠の強制命令を使うしかないが……
「わ、わかったよ……」
「ふふ、ホントに舞のこと大切に思ってくれているんですね」
「舞だけじゃないよ。私はこのメンバー全員が大事なんだ……」
そう言いながら脱ぎ始めたノエルに、オレは思わず嘲りの笑い声を上げた。
その声がまさか心底の笑いになるとは思わなかったが。
「あっはっは!!可愛いですね!!」
「うぅ……」
動物が沢山プリントされた下着に、オレは思わず椅子から転げ落ちそうになった。
「いいなぁ、ノエルさん。可愛い人だ。一度味見したくなってきた」
大人びいたクールな顔と子供じみた下着のアンバランスさが二重の意味で堪らない。
「着やせするんですか?抱き心地が良さそうだ」
「ア、アンタは舞の旦那だろ!」
そんなのは関係ないんですよ、世の中の女は全部オレの女だから。
(ま、それは後でいいか)
そんなに舞のコトが大事なら、舞の前で犯してやろう。
意志はこのままで、身体はオレの意のままで、よがり狂わせてやろう。
「それじゃあ、初めてください。あ、分かっていると思いますけど、解散ライブって盛り上がってくると下着も脱ぎますから」
オレはそう付け加えると、椅子に深く腰掛けた。

面白くないことに、彼女たちはあまり戸惑いもせずに下着も脱ぎ捨てた。
羞恥心よりも音楽での興奮の方がまさったのだろう。
「イツキさーん、マイクスタンド濡れてますよー」
股に挟んでいるスタンドが照明で濡れた光を見せる。
ただ、イツキはオレの言葉が聞こえてないらしい。熱唱している。
ただギターは乱れ始めた。メインギターのカエデの息が荒い。
「ん…はぁ……んっ…」
ギターの肩かけの部分が幼い突起に擦れて気持ちいいらしい。
とんだ淫乱女だ。いや、あの下着の時点でそんな感じはあったが。
「見てて面白いのはミカぐらいだな」
全裸になって押さえつける者がない乳房は、ドラマーの激しい動きと相まって多いに揺れている。
オレが視線を向けると、時々恥ずかしそうに腕を交差させて隠そうとして音が乱れた。
「ふぅん……」
いつの間にか曲がおわり、オレは多いに拍手を繰り返した。
「いや、素晴らしかった」
本当は聞くに堪えない不協和音であったが。ただベースのノエルだけは乱れることはなく進めていたのには感心した。
「アンコール、アンコール!」
「そう?それなら……」
オレの声に、イツキがマイクを握り直す。
「ちょっと待って下さい。アンコールに楽器は要らないでしょ?アンコールの時は自分の身体が楽器だ」
「ああ、そうだったね」
さて、この大雑把な命令に彼女達がどうすかは愉しみではある。
「ああ、舞はコッチにきてオレの相手をしてくれないかな」
「え?うん、わかった!」
一曲弾き終わった後の荒い息の舞がオレの元に寄ってくる。
「前を向いて。これは舞の解散コンサートなんだから」
オレは背中から舞を抱きしめると、起立したオレ自身を舞の中に沈めた。
「んぁあ……」
「いいバックコーラスになる」
舞の喘ぎがキッカケに、嬌声の五重奏が始まった。
イツキは自身の乳房を強く握り、口に近づけながら歌い始めた。
カエデとノエルはそれぞれアンプコードを自分の膣に差し込むと、ピックで自身の胸の突起を弾き始めた。
ミカは撥で全身を叩き始めたが、被虐趣味でもあるのか、その顔は恍惚としていた。
「中々面白い趣向だな……」
オレは舞の唾液を啜りながら、そのメロディに興じたのだった。


これでよかったのかもね……
割り当てられたホテルの部屋で、シャワーを浴びながら私は今日の出来事を思い返した。
舞は彼氏の横で幸せそうだった。
それに、舞の才能は今のバンドには勿体ないのかも……
蛇口を閉めて、水を切る。
私はただ、みんなと楽しく音楽したいだけなんだ……
ホントはベースが一番苦手。キーボードかギターの方が得意だけど、ベースが居ないと困るからベースをやっている。
作曲もそう。カエデ達が出来る範囲の技術で曲を用意している。
……アレ?
私、どうしてこんなことを思っているんだろう?
いつもは考えないのに……
やっぱり、舞のコトで動揺しているのかな?
「ん?電話……」
バスタオルで髪を拭きながら、テーブルの上の携帯を覗く。
舞だ。
「はい、もしもし?」
「あ、ノエルさん」
「どうしたの?舞」



舞に呼び出されて深夜の公園に足を運ぶ
「やあ」
「貴方……」
待っていたのは舞じゃなくて、その彼氏の方。
「本気のノエルは素晴らしかった。人の心を奮わせる音楽を創れる人だった」
何を言ってるの?
っていうか、呼び捨てにしないで欲しいんだけど。
「これで駒は揃った。で、それはそれとして、今は女としてのノエルを味わおうと思ってね」
「ハァ?」
「舞、おいで」
コイツがそう言うと、公園の茂みから舞が現れた。
「な……ッ」
裸に首輪を付けた格好で。
「なんて格好!!」
私は慌てて羽織ってきた薄手のコートを舞に着せた。
「大丈夫、人払いはしている。雰囲気だよ、雰囲気」
「人払い?アンタ何様の……」
「出来るんですよ。でも例えオレの支配下にあるとしても、舞の裸だけは他人には見せたくないんでね……」
「アンタがこんな格好をさせているのか!!」
「ノエルも自分からするようになりますよ。ま、ノエルは別に舞みたいに大切には扱わないけどね」
男の手が私の視界を覆う。
すると急に視界がぼやけて……
「舞、オレから学ぶんだ。オレが何を愉しみ、何を求めるのか。舞はオレの全てを満足させくれるような完璧な存在になってもらう」
アンタ……舞を……どうする……つも……
「愛するつもりさ」